株&コモディティ チャート分析:下がるようにしか見えない病
KEY TAKEAWAYS
- GDPNowが-2.1に下落。
- ベアマーケット継続中。
- 原油が下降トレンドに転換する可能性。
みなさん、こんにちは!
6月27日〜7月1日の経済データとチャート分析をお届けします。
上半期最後の週に、今四半期のGDPを推測するGDPNow(※1)がとうとう-2.1%を示して、リセッション(※2)にいる確率が上がっているように見えています。国債が買われている状況を過去のクラッシュの時期と比較すると、株価のボトムまでカウントダウンが始まっているかもしれません。
インフレーションがピークしていない状況なので、金融引き締めの収束時期も見えていないので、まだベアマーケットが終わる目処が立っていないというのが現実的な見方のように思います。経済指数も全て下を向いているので、すでにリセッションの中にいるという意見には賛成です。
一方で、ショッピングにお金を使う人が減っている反面、レジャーを楽しむ人は多くいるようなので、過去最高のリセッションと表現している人もいるようです。最悪の時にはできることをするしかないので、前向きに行くのが良さそうですね。
ということで、個別にチャートを見ていきましょう!
1. GDPNowは、米国中央銀行アトランタ支局が提供するレポートで、日々の経済データを元に現在の四半期のGDP推測値を算出するものです。正式な予測値ではありませんが、向かっている方向を探る手掛かりになっています。
2. リセッションは、景気後退を指し、正式な定義では2四半期連続でGDPがマイナス成長の状態を指します。主な原因はインフレーションを抑制するための中央銀行の政策金利の引き上げが急激なことにより起こることが多いようです。リセッションになると小さな企業が破綻しやすくなり、失業率が加速的に上昇しはじめます。
世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※3)である米国マーケットを分析することで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※4)のインサイトを見つけることができればと思っています。
3. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
4. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
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直近の主な経済データについて
この1週間は以下の経済データが公表されました。
米国 GDPNow 0.3% (前回 0.0%)
前回の0.0%からプラスに回復。
米国 卸在庫指数 2% (専門家予測 1.9%、前回 2.3%)
前回に近い数値。
米国 住宅価格指数 21.2% (専門家予測 21%、前回 21.1%)
予測に近い数値。インフレーション高騰に寄与。
独国 インフレーション指数 6月速報値 7.6% (専門家予測 7.9〜8.0%、前回 7.9%)
予測より低く、前回より低い数値。
米国 GDP成長率 Q1最終 -1.6% (専門家予測 -1.5%、前回 6.9%)
これまでの集計値より低く、前回より8.5%減少。
米国 EIA原油備蓄 -2.762M (前回 0.386M)※MはMillion=100万の意。
前回より減少。
仏国 インフレーション指数 6月速報値 5.8%(専門家予測5.5〜5.6%、前回5.2%)
1985年以来の高さ。予測より高く、前回より高い数値。
独国 失業率 6月 5.3%(専門家予測5.0%、前回5.0%)
予測より高く、前回より増加。
欧州 失業率 5月 6.6%(専門家予測6.8%、前回6.8%)
前回より減少。ひと月古いので参考程度。
失業保険申請数 231K(専門家予測218K〜228K、前回233K)
増加傾向が継続。前回数値もアップデートされ多くなっている。
GDPNowアップデート -1.0(前回0.3%)
マイナス領域に突入。前回より1.3%減少。
欧州 インフレーション指数 6月速報値 8.6%(専門家予測8.3〜8.4%、前回8.1%)
予測より高く、前回より0.5%高い数値。
GDPNowアップデート -2.1(前回-1.0%)
さらにマイナス領域を進行。
特に顕著だったのはGDPNowが-2.1になっていることです。リセッションに備えて守りを固めている人が多いという報道もありましたが、国債への資金流入が多くなっているようです。2001年や2008年や2018年など、過去の大きな株価下落の時の国債の動きを見てみると、買われて国債価格が上昇トレンドになり始めてから2か月前後で株価がボトムするケースが多く見えます。
例えば2008年の時には12月頃から上昇トレンドに入り、翌年3月にボトムしています。2018年の時には10月頃から上昇トレンドに入り、12月にボトムしています。今年はまだ国債が上昇トレンドに入るか分かりませんし、利上げ目処が見えるのもまだ先です。そのため、まだベアマーケット(※5)が続く可能性が高いと思われますが、このまま国債が上昇トレンドに入ったとしたら9月頃には株価がボトムしているかもしれません。
今週の主な経済データ
7月4日 米国 独立記念日(祝日)
7月5日 豪州 政策金利(専門家予測 1.35%、前回0.85%)
7月7日 米国 FOMC議事録公開
7月7日 米国 ADP非上場企業雇用統計(専門家予測 180〜200K、前回128K)
7月7日 米国 失業保険申請数(専門家予測 180〜200K、前回128K)
7月7日 米国 GDPNowアップデート(前回-2.1%)
7月8日 米国 雇用統計(専門家予測 270K〜300K、前回390K)※KはThousand=1,000の意。
7月8日 米国 失業率(専門家予測 3.6%、前回3.6%)
5. ベアマーケットは、長期的に下降トレンドが続く時期を指し、正式には直近の史上最高値から20%以上下がった価格帯まで下がっている状態を指します。
S&P500ボラティリティ指数 VIX(※6)
KEY TAKEAWAYS
- あまり下がっていないので注意が必要。
6. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。
S&P500指数ETF SPY(※7)
KEY TAKEAWAYS
- 2週前に200EMA(※8)ラインで反発して、トレンドラインにあたって下がり始めている。
- まだ利上げサイクルは終わらないため、200EMAラインを割る可能性が高い。
7. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
8. EMAは、Exponential Moving Averageの略で、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均値と重なりやすいように、画像の中では10EMA(イエロー)、50EMA(オレンジ)、200EMA(レッド)を表示しています。
NASDAQ100指数ETF QQQ(※9)
KEY TAKEAWAYS
- 過去3週間200EMAラインから離れていないので、下に割るかもしれない。
- トレンドラインをブレイクすれば50EMAラインまで上昇する可能性。
9. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
10. EWJは、米国マーケットに上場しているETFで、日本株式の時価総額の上位263社を保有しています。
11. ギャップは、前日のローソク足と当日のローソク足に開きがあることをさします。テクニカル指標で指値を検討する際にギャップの中に設定されにくいため、ギャップの上か下かで値動きに大きな影響を与えると考えられます。
おまけ
KEY TAKEAWAYS
- 2022年の重要なサポートラインで止まっている。
- 今のラインを割ると大きく下がりそう。
このサイトのコンテンツ紹介
FXモメンタムガイド
為替マーケット(FX)のトレンドを見るためのツールです。主要な通貨の値上がり/値下がりの傾向をトレンドラインにして見ることができます。トレードの参考にご覧ください。
リスクオンorオフ
マーケットのセンチメントをはかるためのツールです。リスクオンなのかリスクオフなのかを見るために、米国のETFの日次の値動きと週次の値動きと取引ボリュームをバブルチャートにしています。
投資のお勉強ガイド
これから投資を勉強しようと考えている方のために、投資を勉強していくガイドをまとめています。日本でより多くの人がもっとカジュアルに投資を楽しむようになれば、明るく楽しく過ごす人が増えると思っています。投資に興味を持ち始めた方はぜひご覧ください。
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