株&コモディティ チャート分析Daily: インフレ問題 終わりそう?




KEY TAKEAWAYS
  • 原油価格や金の価格が大きく下落。
  • 米国10年国債がよく買われている


みなさん、こんにちは!

7月5日の米国マーケットの振り返りをしながら、経済データとチャート分析をお届けします。


昨日の特に大きなできごとは、原油価格の大きな下落だと思います。やっと下がってきた、という風に感じます。インフレーションの原因の多くは原油価格にあるため、これが下がればインフレーションは確実にピークアウトします。このまま下がり続けてくれれば、インフレーション指数も追いかけるように下がっていくと思います。

一方で、原油価格が下がるということは需要の減退を見込んでいることにもなるため、リセッション(※)かそれに近い状態で経済が縮小することになりそうです。現在もすでに経済は縮小傾向にありますが、インフレーションが下がるまで利上げをせざるを得ないのが中央銀行の性なので、少しの間は経済のダメージを覚悟するしかなさそうです。

ということで、個別にチャートを見ていきましょう!

1. リセッションは、景気後退を指し、正式な定義では2四半期連続でGDPがマイナス成長の状態を指します。主な原因はインフレーションを抑制するための中央銀行の政策金利の引き上げが急激なことにより起こることが多いようです。リセッションになると小さな企業が破綻しやすくなり、失業率が加速的に上昇しはじめます。



 



世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※2)である米国マーケットを分析することで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※3)のインサイトを見つけることができればと思っています。

2. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
3. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。

Table of Contents




 

直近の主な経済データについて

この1週間は以下の経済データが公表されました。

豪州 政策金利 1.35% (専門家予測 1.35%、前回 0.85%)
予測どおりの利上げ。







オーストラリアの中央銀行は予測どおり0.5%の利上げを行いました。通常、金利が上がると通貨は買われる傾向にありますが、いまはコモディティの価格が大きく下がっている影響が強く、オーストリアドルは大きく下がっています。

特に原油価格が下がることはインフレーションの解消につながるため、将来的には良い兆しに見えます。その代わり、需要が減退していることを示しているため、近い将来にはリセッションかそれに近い状態で経済にとって困難な状況がありそうです。

それに対応するかのように国債がよく買われていて、米国10年国債の利回りは3%を割り込んで大きく下がっています。その影響でリセッションインディケーター(※4)と呼ばれる、米国10年国債と2年国債の利回りスプレッドがマイナスの領域に入り始めています。

メディアでもリセッションに関する報道が多く見られるので、いまさら驚くことはなさそうですが、失業率が上がりはじめたりするとマーケットは大きく動揺すると思われるので、今週金曜の失業率の公表は要チェックと思います。



今週の主な経済データ
7月7日 米国 FOMC議事録公開
7月7日 米国 ADP非上場企業雇用統計(専門家予測 180〜200K、前回128K)
7月7日 米国 失業保険申請数(専門家予測 180〜200K、前回128K)
7月7日 米国 GDPNowアップデート(前回-2.1%)
7月8日 米国 雇用統計(専門家予測 270K〜300K、前回390K)※KはThousand=1,000の意。
7月8日 米国 失業率(専門家予測 3.6%、前回3.6%

4. リセッションインディケーターは、米国の2年国債と10年国債のイールドのスプレッドを見る指数で、通常は長い期間の10年国債のイールドの方が高くプラスの数字を示します。経済が不健康になり、リセッションが訪れる直前になるとイールドが逆転してマイナスの数字を示すことからリセッションインディケーターと呼ばれています。



 

S&P500ボラティリティ指数 VIX(※5)



KEY TAKEAWAYS
  • 上がりそうな雰囲気を見せているので警戒。

5. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。



 


S&P500指数ETF SPY(※6)



KEY TAKEAWAYS
  • 雇用統計の前で動きが止まっているように見える


6. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。


 



ダウ工業平均指数ETF DIA(※7)




KEY TAKEAWAYS
  • 雇用統計前であまり動かない印象。


7. ダウ工業平均は、DIA(Dow Jones Industrial Average)と呼ばれ米国の株価上位30社の平均価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。








NASDAQ100指数ETF QQQ(※8)



KEY TAKEAWAYS
  • テクノロジーセクターだけ大きく上昇を見せている。
  • トレンドラインをブレイクすれば50EMA(※9)ラインまで上昇する可能性。


8. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
9. EMAは、Exponential Moving Averageの略で、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均値と重なりやすいように、画像の中では10EMA(イエロー)、50EMA(オレンジ)、200EMA(レッド)を表示しています。





 

日本株式ETF EWJ(※10)



KEY TAKEAWAYS
  • ローソク足は上昇だけど、終値はじわじわ下がっている


10. EWJは、米国マーケットに上場しているETFで、日本株式の時価総額の上位263社を保有しています。





 


ビットコイン米ドルレート BTC/USD



KEY TAKEAWAYS
  • チャネルラインの中では下がる余地が残っている。
  • 下降トレンドラインにあたるともう一段下がる可能性。
  • ボリンジャーバンドが急速に縮んでいるので、次の動きが大きくなる可能性を示している。








 

おまけ



KEY TAKEAWAYS
  • 下がる勢いがとても強い。
  • インフレーション解消の良い兆しと同時に、景気後退によるマーケット全体の下落を警戒。









KEY TAKEAWAYS
  • 2022年の重要なサポートラインをブレイクダウン。
  • ボリンジャーバンド(※11)σ3ラインにタッチしているので、少し内側に戻りそう。

11. ボリンジャーバンドは、チャート分析に使われるテクニカル指標のひとつで、移動平均と標準偏差の組み合わせで構成されています。指定期間の標準偏差を用いて値動きの可能性をラインで表示し、移動平均を挟んで上下に帯のように表示されます。変動可能性が大きい時は幅が広がり、小さい時は狭くなります。狭くなった後は次に大きく動く可能性が高くなります。






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FXモメンタムガイド

為替マーケット(FX)のトレンドを見るためのツールです。主要な通貨の値上がり/値下がりの傾向をトレンドラインにして見ることができます。トレードの参考にご覧ください。



リスクオンorオフ

マーケットのセンチメントをはかるためのツールです。リスクオンなのかリスクオフなのかを見るために、米国のETFの日次の値動きと週次の値動きと取引ボリュームをバブルチャートにしています。



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