マーケットレビュー Daily : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - May 27, 2022

マーケットレビュー Daily : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - May 27, 2022

はい、みなさんこんにちは!
クリエイティブ、テクノロジー、投資ファンのこーじです。

今回は5月27日のマーケットレビューをお届けします。

世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※1)である米国マーケットをレビューすることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※2)のインサイトを提供できればと思っています。

米国中央銀行が柔らかいスタンスを見せはじめたことと、インフレーションの解決に兆しが見えはじめたことで、まさにベアマーケットラリー(※3)といった感じで米国マーケットは速いスピードで上昇しています。

この2週間ほど取引ボリューム(※4)が非常に小さいので、ベアマーケットが終わったようには見えませんが、来週後半まで上昇ムードが続きそうには見えます。というわけで各セクターの状況を見てみましょう!

1. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
2. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
3. ベアマーケットラリーは、ベアマーケット(長期間下降トレンドが続く時期のマーケットを指します)の中に発生する上昇トレンドで、短期間のうちに強い勢いで株価が動きます。
4. 取引ボリュームは、売買の金額の大きさを表していて、見ている時間軸での取引ニーズの大きさを表しています。上の画像の中ではチャートの背景に表示されている棒グラフがボリュームを表しています。




直近の主な経済指標について

昨日は「月次個人収入&支出指数(※5)」と「卸在庫指数※6」と「小売在庫指数※7」と「消費者センチメント指数※8」の公表がありました。

月次個人収入指数は、0.4%が公表され、専門家の予測値0.5〜0.6%より少し低い数値でした。インフレーション※9問題で心配されていた賃金の高騰がまだ起きていないと解釈されたように見えます。

月次個人支出指数は、0.9%が公表され、専門家の予測値0.7〜0.8%より少し高い数値でした。
消費を控える行動が思ったより小さいと捉えられているように見えます。

卸在庫指数は、2.1%が公表され、専門家が予測していた1.5〜2%より少し高い数値でした。
卸在庫が増えると卸価格が下がりやすくなるため、インフレーションを抑制する働きが期待されていると見えます。

小売在庫指数は、1.7%が公表され、専門家の予測値1.5%より少し高い数値でした。
小売在庫が増えると小売価格が下がりやすくなるため、インフレーションを抑制する働きが期待されていると見えます。

消費者センチメント指数は、58.4%が公表され、専門家の予測値59.1%より少し低い数値でした。
この指数は今年に入ってからすでに2008年のリセッション※10期間と同じ水準に低下していて、一般消費者のセンチメントはかなり低くなっています。それが予想より低いことから想像よりダメージが大きいことを表していると思います。


これらの発表を受けて、リセッションを深刻にするインフレーションが徐々に落ち着く見込みが強くなっていると見えます。いまの経済環境は良くないので、Q1※11に続きQ2もGDP※12がマイナス成長になって米国政府が正式にリセッションのアナウンスをする可能性は高いですが、インフレーションが抑制されてくれば多くの企業が年内の雇用を維持できる可能性が上がり、リセッションだとしてもマイルドなもので済む可能性が上がります。そんな解釈でいまのマーケットは少し緊張感が取れているように見えます。


来週は、マーケットがセンシティブになっている雇用環境に関する指標がマーケットの動きに影響を与えるように思います。重要とされている指標の中でも、5月31日のユーロ圏インフレーション指数、6月1日ユーロ圏4月失業率、6月2日米国失業申請件数、6月3日米国5月失業率あたりが大きなチェックポイントになりそうです。

5. 月次個人収入&支出指数は、個人の収入と支出を前月と比べて一般消費者の経済状況を測る数値で、米国経済統計局(U.S. Bureau of Economic Analysis)から公表されます。
6. 卸売在庫指数は、卸売商品の在庫の増減を前月と比較し卸売の流動状況を測る指標で、米国集計局(U.S. Census Bureau)から公表されます。
7. 小売在庫指数は、小売商品の在庫の増減を前月と比較し小売の流通状況を測る指標で、米国集計局(U.S. Census Bureau)から公表されます。
8. 消費者センチメント指数は、自分の経済状況、直近の一般的な経済状況、少し先の一般的な経済状況という3つのポイントにフォーカスをあてている月次調査で、米国ミシガン大学が実施しています。
9. インフレーションは、消費者物価指数を主に対象とした価格の高騰を指します。原油価格の高騰が食料や工業製品などその他産業の物価に影響を与えてインフレーションを起こすことが多いです。価格が上がりすぎると需要が落ち込み、経済活動が急激に低下して景気後退に陥ります。
10. リセッションは、景気後退を指し、正式な定義では2四半期連続でGDPがマイナス成長の状態を指します。主な原因はインフレーションを抑制するための中央銀行の政策金利の引き上げが急激なことにより起こることが多いようです。リセッションになると小さな企業が破綻しやすくなり、失業率が加速的に上昇しはじめます。
11. Q1は、第一四半期を指し、米国では主に1月〜3月を指します。
12. GDPは、Gross Domestic Productionの略で、国民総生産を指します。大雑把には経済活動による売上の合計となり、経済活動の活発さや市場の大きさを測る指標となります。




S&P500ボラティリティ指数 VIX  -6.47%  ▼


S&P500のボラティリティ指数VIX(※13)は、毎日少しずつ低下して標準偏差+1の下まで下がってきました。緊張が和らいでいることの表れと思いますが、大きな動きが無いのは変わっていません。まだ株価が下がる方にポジションを維持している人が多いことを表しているので、何かをきっかけにして大きな変動が起こりやすい状況は続いているように見えます。

13. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は反発のチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。



S&P500指数ETF SPY   +2.45%  


S&P500指数(※14)をトラックするETF SPYは、5月上旬に作られたギャップ(※15)の上まで上昇しました。カウンタートレンド(※16)で勢いが強く、すでにフィボナッチ(※17)0%ラインの下まで到達しています。すぐ上には50EMA(※18)ラインもあるので、レジスタンスライン(※19)が強そうに見えます。一時的に跳ね返されたとしても、画像にあるグリーンの帯でマークしたギャップの上を維持できれば、フィボナッチ38.2%ラインに向かって上昇トレンドが続きそうです。

14. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
15. ギャップは、前日のローソク足と当日のローソク足に開きがあることをさします。テクニカル指標で指値を検討する際にギャップの中に設定されにくいため、ギャップの上か下かで値動きに大きな影響を与えると考えられます。
16. カウンタートレンドは、いまあるトレンドとは逆方向に流れるトレンドを指します。
17. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。
18. 50EMAは、ローソク足50本分の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。日足の場合はおよそ1四半期の平均を表し、週足ではおよそ1年の平均を表すため、チャート分析でよく使われています。画像の中では淡いオレンジのラインが50EMAにあたります。
19. レジスタンスラインは、値動きの波が跳ね返りやすい上限の価格です。過去の値動きで山や谷になっているところと重なることが多く、逆方向の指し値注文が入りやすいところと見られます。


ダウ工業指数ETF DIA   +1.72%  


Dow Jones Industrial Average(※20)をトラックするETF DIAは、今週は5日連続で上昇しています。取引ボリュームはとても小さいので、ポジションの入れ替えは特になく、様子見の人が多いように見えます。ちょうど50EMAラインにタッチしているので、ここで少し跳ね返されるかもしれません。フィボナッチ38.2%ラインまでまだ離れているので、上昇の余地は残っているように見えます。
20. Dow Jones Industrial Averageは、米国の株価を重視して重み付けした上位30社の価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。




NASDAQ100指数ETF QQQ    +3.26%  


NASDAQ100指数(※21)をトラックするETF QQQは、取引時間終了後の上昇からほとんど戻らずさらに上昇しました。取引ボリュームは大きくありませんが、ベアマーケットラリーなので勢いが強いそうです。フィボナッチ0%ラインは強いレジスタンスラインになりますが、一番長く売られてきたセクターなので、フィボナッチ38.2%ラインあたりにある下降トレンドラインまで上昇しそうに見えます。

21. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。



RUSSEL2000指数ETF IWM    +2.69%  

RUSSEL2000指数(※22)をトラックするETF IWMは、反発の勢いが強くすでにフィボナッチ0%ラインの下まで到達しました。週末に下がるリスクを気にせず上昇しているところを見ると、来週も上昇トレンドが継続するように見えます。

16. RUSSEL2000は、時価総額上位3000社を集めたRUSSEL3000の下から2000社を集めた指数です。この2000社がRUSSEL3000の時価総額の10%を占めていて、米国の経済状況を測る目安とされている指数です。米国の中小企業をいっぱい集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。


日本株式ETF EWJ    +0.60%  


日本株式をトラックするETF EWJ(※23)は、他の指数と比較すると控えめですが上昇しています。取引ボリュームはさらに少なくなっているので、状況は特に変わりなく見えます。ちょうどタッチして止まっている50EMAラインを上に抜けることができたら、上昇トレンドが強くなるように見えます。今週は新しくギャップを作って上昇しているので、このギャップの上を維持できれば上昇が続くと思われます。

23. EWJは日本株式の時価総額の大きい順に上から263社を保有しています。



ビットコイン米ドルレート BTC/USD


ビットコインの米ドル価格BTC/USDのレートは、また52週安値ラインの下に下がっています。MACDが上昇トレンドなのに上がっていないところを見ると、この先に下がる可能性が高くなっているように見えます。Terraの問題(※24)にもう少し明るい兆しが見えてくれば仮想通貨のセンチメントが改善していくのではないかと思っています。いま起きている問題を乗り越えた後の仮想通貨はかなり強くなる気がしています。

24. Terraの問題は、LUNAを発行するTerraform Labsが発行したUST(ステーブルコインと呼ばれる特定通貨と1:1の価格を維持することを目的とした仮想通貨)が、5月10日に価格維持機能に破綻を起こし、価値の担保のように紐付けられていたLUNAと一緒にほぼ0に価値を消失させた問題で、Terraform Labsが大量にビットコインを購入してたことから不安による売却が起きた。また、他のステーブルコインへの不安も煽っていて、仮想通貨全般に対するセンチメントが低下している。

コメント

このブログの人気の投稿

気をつけて行けば怖くない

トレンドはともだち

ベアマーケットは迷うことが多い