マーケットレビュー Weekly : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - May 23-27, 2022
マーケットレビュー Weekly : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - May 23-27, 2022
はい、みなさんこんにちは!
クリエイティブ、テクノロジー、投資ファンのこーじです。
今回は直近1週間(5月23日〜27日)のマーケットレビューをお届けします。
世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※1)である米国マーケットをレビューすることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※2)のインサイトを見つけることができればと思っています。
この週は米国中央銀行が柔らかい姿勢を見せはじめたことや、インフレーションの心配が少し和らいだことで緊張感がほぐれ、株式マーケットは直近3週間の下落を巻き戻す勢いでリバウンドしました。ベアマーケットラリー(※3)がはじまったように見えます。一方、ビットコインは仮想通貨特有の問題が要因で、停滞したままになっています。
明日月曜日は米国や英国が祝日で休みのため連休になっていますが、その間に下落する可能性をほぼ無視して上昇しているところを見ると、つぎの1週間も上昇ムードが続きそうに見えます。マイルドな予測が出てきてもリセッション(※4)に向かっている事実を頭の片隅に置きながら、各セクターの状況を見てみましょう!
1. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
2. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
3. ベアマーケットラリーは、ベアマーケット(長期間下降トレンドが続く時期のマーケットを指します)の中に発生する上昇トレンドで、短期間のうちに強い勢いで株価が動きます。
4. リセッションは、景気後退を指し、正式な定義では2四半期連続でGDPがマイナス成長の状態を指します。主な原因はインフレーションを抑制するための中央銀行の政策金利の引き上げが急激なことにより起こることが多いようです。リセッションになると小さな企業が破綻しやすくなり、失業率が加速的に上昇しはじめます。
* 取引ボリュームはチャートへの反映にやや遅延があるようなので、2週間前のデータから参考にします。
直近の主な経済データについて
今週は以下の公表がありました。
新規住宅販売件数4月 +0.591M (専門家予測0.75M-0.755M)
住宅マーケットが下降トレンドに入りはじめたという意見もあり、その兆候と見る意見が増えているようです。
FOMC議事録公開(※5)
多くの投資家が想定していた最悪のシナリオより政策金利の利上げペースが緩いことがうかがえる内容で、緊張がほぐれる大きなきっかけとなりました。
GDP成長率Q1見積値改訂(※6) -1.5% (専門家予測-1.3〜-1.4%)
もともと悪い事実を受け止めていたものがもう少し悪かった、という結果で、一般消費者のセンチメント低下と紐付いているように見えます。
週次失業申請件数 +210K (専門家予測215K〜221K)
失業率に直接影響する数値で、専門家の悲観的な予測よりやや良く、先月よりやや減少していて、リセッションが急速に進行していないという解釈で緊張感がほぐれているように見えます。
月次個人収入&支出指数(※7)
収入 +0.4% (専門家予測+0.5〜+0.6%)
支出 +0.9% (専門家予測+0.7〜+0.8%)
賃金の高騰化が見られず、購買行動の急速な低下も見られないことから、インフレーションによる経済環境の破壊が心配しているよりマイルドだと捉えられているように見えます。
卸&小売在庫指数(※8)
卸在庫 2.1% (専門家予測+1.5〜+2.0%)
小売在庫 1.7%(専門家予測+1.5%)
卸在庫が増えると卸価格が下がりやすくなるため、インフレーションを抑制する働きが期待されていると見えます。
主には米国中央銀行がスタンスを少し柔らかく見せはじめたことと、リセッションの進行が想定よりマイルドなことから、マーケットの緊張感がほぐれているように見えます。
つぎの1週間は、雇用環境に関するデータがマーケットの動きに影響を与えるように思います。重要とされているデータの中でも、5月31日のユーロ圏インフレーション指数、6月1日ユーロ圏4月失業率、6月2日米国失業申請件数、6月3日米国5月失業率あたりを要チェックと思います。
5. FOMCは、Federal Open Market Committeeの略で、米国中央銀行の金融政策決定会合のような位置付けのものです。この会議で政策金利が決定され、QE(金融緩和)やQT(金融引締め)の計画内容と進行状況が話されます。議事録には公表されていない将来の施策や、現在のマーケットの展望などが含まれるため世界の投資機関が注目しています。
6. GDP成長率Q1見積値は、GDP(=Gross Domestic Production、国民総生産)の数値を全四半期と比べてどの程度成長したかを表すパーセンテージで、米国経済統計局(U.S. Bureau of Economic Analysis)から公表されます。四半期終了後、集計の進み具合に合わせて毎月数値のアップデートがあります。Q1は第一四半期を指し、米国では主に1月〜3月を指します。
7. 月次個人収入&支出指数は、個人の収入と支出を前月と比べて一般消費者の経済状況を測る数値で、米国経済統計局(U.S. Bureau of Economic Analysis)から公表されます。
8. 卸&小売売在庫指数は、商品の在庫の増減を前月と比較し商品在庫の流動状況を測る指標で、米国集計局(U.S. Census Bureau)から公表されます。
S&P500ボラティリティ指数 VIX -11.74% ▼
S&P500のボラティリティ指数VIX(※9)は、徐々に低下して前週の最低値あたりまで下がりました。マーケットの緊張が和らいできているので下がる傾向にありますが、昨年11月から続いている上昇トレンドの中にあるので、楽観的になり過ぎない方が良さそうに見えます。VIXの数値が21に達するところまでは上昇ムードに期待できるかもしれません。
9. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は反発のチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。
S&P500指数ETF SPY +5.69% △
S&P500指数(※10)をトラックするETF SPYは、直近3週間の下落を巻き戻しました。ベアマーケットラリーがはじまったように見えます。3月中旬に次ぐ大きな反動なので、この勢いはまだ続くように見えます。フィボナッチ(※11)0%ラインは大きなレジスタンスライン(※12)になりますが、勢いが強いので超えるように見えます。61.8%ラインまで近付いたら下降トレンドに戻ることを警戒するのが良さそうに見えます。
10. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
11. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。
11. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。
12. レジスタンスラインは、値動きの波が跳ね返りやすい上限の価格です。過去の値動きで山や谷になっているところと重なることが多く、逆方向の指し値注文が入りやすいところと見られます。
ダウ工業指数ETF DIA +5.28% △
Dow Jones Industrial Average(※13)をトラックするETF DIAは、全体をリードするように上昇していて、3月中旬の位置まで戻っています。フィボナッチ0%ラインの上を維持できれば、さらに上昇できると思います。フィボナッチ38.2%〜61.8%ラインの間まで上昇したら下降トレンドに戻ることを警戒しますが、まだ上昇の余地が残っているように見えます。
13. Dow Jones Industrial Averageは、米国の株価を重視して重み付けした上位30社の価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
NASDAQ100指数ETF QQQ +6.65% △
14. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
15. EMAは、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均値と重なりやすいように、画像の中では5EMA(淡いイエロー)、10EMA(イエロー)、25EMA(淡いオレンジ)、50EMA(オレンジ)、100EMA(淡いレッド)、200EMA(レッド)を表示しています。
日本株式をトラックするETF EWJ(※23)は、他の指数と異なりすでに数週間にわたり上昇を継続しています。10EMAラインを上に抜けられたら、フィボナッチ-61.8%ラインまで上昇できそうに見えます。最も長く売られていて、最も200EMAラインから下に落ちているので、比較的割安なセクターに見えていると思います。
RUSSEL2000指数ETF IWM +5.42% △
RUSSEL2000指数(※16)をトラックするETF IWMは、下落をはじめてから最も大きく上昇しました。200EMAの上に戻りフィボナッチ0%ラインまで到達しています。このラインを上に抜けられたら、下降トレンドラインを上に抜ける可能性が高くなるように見えます。
16. RUSSEL2000は、時価総額上位3000社を集めたRUSSEL3000の下から2000社を集めた指数です。この2000社がRUSSEL3000の時価総額の10%を占めていて、米国経済の健康状態を測る目安とされている指数です。米国の中小企業をいっぱい集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
日本株式ETF EWJ +1.53% △
23. EWJは日本株式の時価総額の大きい順に上から263社を保有しています。
ビットコイン米ドルレート BTC/USD
ビットコインの米ドル価格BTC/USDのレートは、この2週間ずっと52週安値ラインのあたりで停滞しています。Terraの問題から仮想通貨全般的にセンチメントが落ちているようなので、昨年11月から40%引きのバーゲンとはいえ、買いのニーズを押し切って下に向かう可能性が高まっているように見えます。逆に、LUNAが復活して技術的にも信頼感を取り戻せたら、反動で大きく上昇するように思います。世界の中央銀行が金融引き締めを行っていて、リセッション懸念から利回り重視の投資先に資金が流入している状況から、仮想通貨への追い風はいま止んでいるように思います。
24. Terraの問題は、LUNAを発行するTerraform Labsが発行したUST(ステーブルコインと呼ばれる特定通貨と1:1の価格を維持することを目的とした仮想通貨)が、5月10日に価格維持機能に破綻を起こし、価値の担保のように紐付けられていたLUNAと一緒にほぼ0に価値を消失させた問題で、Terraform Labsが大量にビットコインを購入してたことから不安による売却が起きた。このことで他のステーブルコインへの不安を煽り、仮想通貨全般に対するセンチメントが低下している。








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