マーケットレビュー Daily : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - June 10, 2022

マーケットレビュー Daily : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - June 10, 2022


はい、みなさんこんにちは!
クリエイティブ、テクノロジー、投資ファンのこーじです。

6月10日のマーケットレビューをお届けします。

世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※1)である米国マーケットをレビューすることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※2)のインサイトを見つけることができればと思っています。


KEY TAKEAWAYS
  • インフレーション指数の公表を受けて大きく下降。
  • 金のスポット価格は上昇。
  • 来週のFOMCで見える利上げ方針に警戒。


昨日公表された米国インフレーション指数は予想以上に高く、株式マーケットは大きく下降しました。4月をピークに下がっていくシナリオが覆されて新しいピークを作っているため、利上げ予測も上がり、株価はさらに下がる方向に織り込みし直しているように見えます

コアインフレーション指数は下がっているので、原油価格が下がれば問題は解決に向かうはずです。ただし、下がることが確認できるまでは政策金利を上げていくしかないので、さらなる株価の下落を覚悟する必要があるように見えます。

ということで、各セクターの状況を見てみましょう!

1. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
2. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。




Table of Contents

  • 直近の主な経済データについて
  • S&P500ボラティリティ指数 VIX
  • S&P500ETF SPY
  • Dow Industrial Average ETF DIA
  • NASDAQ100 ETF QQQ
  • RUSSEL2000 ETF IWM
  • 日本株式ETF EWJ
  • ビットコイン米ドルレート BTC/USD
  • おまけ




直近の主な経済データについて

昨日は以下の経済データが公表されました。


米国インフレーション指数年率 8.6% (専門家予測 8.3%)
専門家の予測を上回り、最高値を更新する数値が公表され、マーケットに大きな影響を与えました。元々の予測の裏にある見込みでは、4月がピークで横ばいを続けながら徐々に下がるというシナリオだったため、楽観的な推測がかき消され大きく落胆したと思います。

一方で、同時に公表されているコアインフレーション指数(下のチャート)は徐々に下がるカーブを描いています。コアインフレーション指数は食料とエネルギーの価格を除いて算出される指数で、日常で使うサービスや商品の価格、賃貸費や航空費などが対象になっています。こちら下がっているので、経済は狙いどおり正常な状態に向かっています。



米国消費者センチメント指数 50.2 (専門家予測 58〜59)
2008年の世界的なリセッション時期を下回る水準に低下しています。一般社会が経済的に落ち込んでいる中でも、物価の高騰を抑えるためには金融引き締めをしなければならないので、リセッションの現実味が濃くなっているように思います。

Source: TRADINGECONOMICS



インフレーション指数が想定以上に高いということは、投資家が予測している米国中央銀行の利上げ予測が足りていないことを示すものなので、マーケットがさらなる利上げを織り込むために価格を下げているように見えます。

一方で、コアインフレーション指数が下がっているところを見ると、経済が健康状態を取り戻すために前進していることは明確だと思います。いまのインフレーション指数の高騰はほとんどが原油価格の影響ということになるので、原油価格の高騰が落ち着けば大きく改善の方向に向かうと考えられます。

また、センチメント指数と政策金利の歴史を見ると、センチメントが低い時期の利上げはリセッションに繋がっているので、改善に向かう前にリセッションが深刻化する時期が訪れる可能性が高そうです。

来週はFOMC(※3)があるので、そこでのパウエル議長のコメントで将来の利上げの織り込み具合を決めると思います。


今週の主な経済データ発表
特になし

3. FOMCは、Federal Open Market Committeeの略で、米国中央銀行の金融政策決定会合のような位置付けのものです。この会議で政策金利が決定され、QE(金融緩和)やQT(金融引締め)の計画内容と進行状況が話されます。議事録には公表されていない将来の施策や、現在のマーケットの展望などが含まれるため世界の投資機関が注目しています。





S&P500ボラティリティ指数 VIX


S&P500のボラティリティ指数VIX(※4)は、インフレーション指数の公表を受けて大きく上昇しました。4月末の変動と比べると株価が動いているわりには大きく動いていないように見えます。来週のFOMCを境に大きく上昇する可能性がありそうです。


TAKEAWAYS
  • インフレーション指数の最高値更新を受けて上昇。
  • 来週のFOMCに警戒。


4. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。





S&P500指数ETF SPY


S&P500指数(※5)をトラックするETF SPYは、大きく下がり直近最安値を更新する可能性が高くなっています。取引ボリュームが大きくなっているので、キャピチュレーション(上昇を期待する保有者が諦めること)が始まっているかもしれません。ボリンジャーバンド(※6)まで離れているので、もっと下がる余地は残っているようです。


TAKEAWAYS
  • 直近最安値を更新する勢いで大きく下降。
  • 取引ボリュームが大きく、キャピチュレーションが始まっている可能性がある。


5. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
6. ボリンジャーバンドは、チャート分析に使われるテクニカル指標のひとつで、移動平均と標準偏差の組み合わせで構成されています。指定期間の標準偏差を用いて値動きの可能性をラインで表示し、移動平均を挟んで上下に帯のように表示されます。変動可能性が大きい時は幅が広がり、小さい時は狭くなります。狭くなった後は次に大きく動く可能性が高くなります。




ダウ工業指数ETF DIA 


Dow Jones Industrial Average(※7)をトラックするETF DIAは、フィボナッチ(※8)-23.6%ラインを下に抜けて、大きく下がりました。直近最安値を作った時期の価格帯に入っているので、さらに下がっていく可能性が高く見えます。取引ボリュームが比較的小さいままなので、これからさらに下がる可能性がありそうです。


TAKEAWAYS
  • フィボナッチ-23.6%ラインを下に割って、大きく下降。
  • 取引ボリュームがまだ小さいので、さらなる下降の可能性がある。


7. Dow Jones Industrial Averageは、米国の株価を重視して重み付けした上位30社の価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
8. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。







NASDAQ100指数ETF QQQ


NASDAQ100指数(※9)をトラックするETF QQQは、フィボナッチ-23.6%ラインを下に抜けて、大きく下がりました。取引ボリュームも上がってきているので、キャピチュレーションが始まっているように見えます。直近最安値で反発しない場合は、大きく下がる可能性が高くなりそうです。



TAKEAWAYS
  • フィボナッチ-23.6%ラインを下に抜けて、大きく下降。
  • 取引ボリュームが上がり、キャピチュレーションが始まっているように見える。
  • 直近最安値を更新して大きく下がることを警戒。


9. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。





RUSSEL2000指数ETF IWM

RUSSEL2000指数(※10)をトラックするETF IWMは、連日大きく下がり続けています。フィボナッチ-23.6%ラインで反発しない場合は、直近最安値を更新して下がるように見えます。この2週間の低い取引ボリュームが2倍ほどに上がっているので、これからさらに下がる可能性が高く見えます。


TAKEAWAYS

  • 3日連続で大きく下降。
  • 取引ボリュームが大きくなっている。


10. RUSSEL2000は、時価総額上位3000社を集めたRUSSEL3000の下から2000社を集めた指数です。この2000社がRUSSEL3000の時価総額の10%を占めていて、米国経済の健康状態を測る目安とされている指数です。米国の中小企業をいっぱい集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。



日本株式ETF EWJ




日本株式をトラックするETF EWJ(※11)は、他の指数に先行して直近最安値付近まで下がりました。フィボナッチ-147.2%ラインを下に抜けたので、直近最安値を更新して下がっていく可能性が高くなっています。


TAKEAWAYS
  • 他の指数に先行して下降中。
  • 直近最安値を更新する可能性が上がっている。

11. EWJは、米国マーケットに上場しているETFで、日本株式の時価総額の上位263社を保有しています。





ビットコイン米ドルレート BTC/USD




ビットコインの米ドル価格BTC/USDのレートは、52週安値ラインまで下がっています。株式マーケットとは違い、下落の幅は限定的なので同じ価格帯の推移を継続するように見えます


TAKEAWAYS
  • 同じ価格帯での推移が継続。
  • 株式マーケットと比較して下落の勢いが弱い。
  • 上昇方向に転じるターニングポイントは7月末。






おまけ


金のスポット価格と連動するETF GLDは、取引ボリュームが急増し、価格が大きく上昇しています。安全資産のニーズが急に増えているところを見ると、株式マーケットの楽観的な見方がひっくり返って、悲観的になっている表れのように思います。ぐんぐん上昇する状況には思えませんが、インフレーションの懸念が薄れるまでは資金の流入が続くように思います。



TAKEAWAYS
  • 取引ボリュームが増え、大きく上昇。
  • 安全資産のニーズが増えている表れ。







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