マーケットレビュー Weekly : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - June 13-17, 2022
マーケットレビュー Weekly : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - June 13-17, 2022
はい、みなさんこんにちは!
クリエイティブ、テクノロジー、投資ファンのこーじです。
6月13日〜17日のマーケットレビュー をお届けします。
世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※1)である米国マーケットをレビューすることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※2)のインサイトを見つけることができればと思っています。
KEY TAKEAWAYS
- 欧米中銀がインフレーション抑制の見通しを大幅に後ろ倒し。
- S&P500指数は正式にベアマーケット(※3)領域に下降。
- ビットコインが重要なサポートライン(※4)を割って大きく下降中。
- 原油価格が株式指数を追いかけて下降を始めた可能性。
欧州の中央銀行が緊急会合を開き、インフレーションの状況が想定より深刻で抑制までの期間を先延ばし。米国中央銀行も異例の大きな利上げと共に、インフレーション解決の見通しを大幅に後ろ倒し。GDPNow(※5)の速報値が0.0%に至り、リセッション(※6)のアナウンスにリーチがかかった状況。
より多くの人がいまの状況の深刻さを認識し始めた週だったように見えます。このような状況に面して投資家の心理はかなり悲観的な方向に振れているようで、ビットコインはしばらく維持していた価格帯を下に突き破って、株式指数を追いかけるように大きく下降し始めました。そして、原油価格も追いかけるように下降を始めているように見えます。
リセッションが回避できればいまあたりをボトムにして回復を始めてもおかしくないと思いますが、どうやらまだボトム(※7)しきれていないように見えます。ボトムしきれなければ、もっと下がるしかありません。
ということで、各セクターの状況を見てみましょう!
1.
株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
2.
マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
3. ベアマーケットは、長期的に下降トレンドが続く時期を指し、正式には直近の史上最高値から20%以上下がった価格帯まで下がっている状態を指します。
4. サポート&レジスタンスラインは、値動きの波が跳ね返りやすい価格で引いた水平線です。過去の値動きで山や谷になっているところと重なることが多く、逆方向の指し値注文が入りやすいところと見られます。
5. GDPNowは、米国中央銀行アトランタ支局が提供するレポートで、日々の経済データを元に現在の四半期のGDP推測値を算出するものです。正式な予測値ではありませんが、向かっている方向を探る手掛かりになっています。
6. リセッションは、景気後退を指し、正式な定義では2四半期連続でGDPがマイナス成長の状態を指します。主な原因はインフレーションを抑制するための中央銀行の政策金利の引き上げが急激なことにより起こることが多いようです。リセッションになると小さな企業が破綻しやすくなり、失業率が加速的に上昇しはじめます。
7. ボトムとは、英語のBottomの意味で、一番底のことを表しています。株式マーケットの話題の中では、下降トレンドが上昇トレンドに変わる節目を指して使われます。上昇トレンドに切り替わる一番安い価格を指してボトムと呼びます。
Table of Contents
直近の主な経済データについて
この1週間で以下の経済データが公表されました。
英国月次GDP成長率4月 -0.3% (専門家予測 0〜0.1%)
世界経済に影響力が大きい英国のGDPがマイナス成長になっていて、投資家のセンチメントが低下。
英国 失業率 4月 3.8% (専門家予測 3.6〜3.7%)
下がる予測とは反対に上昇。リセッション懸念を後押し。
米国 製造物価指数(PPI) 5月 0.8% (専門家予測
0.7〜0.8%)
先月より少し高い数値。
米国 小売売上指数 5月 -0.3% (専門家予測
0.2〜0.3%)
予測より低く、縮小傾向。
米国 政策金利 1.75% (専門家予測 1.5〜1.75%)
1994年以来の大幅な利上げ。インフレーションの深刻さが伝わりマーケットがショック。
米国 EIA石油備蓄 1.956M (専門家予測 -1.314M) ※MはMillion=100万の意。
予測とは反対に増加。原油価格の抑制に貢献。
米国 FOMCプレスカンファレンス
インフレーションが目標の2%に下がるよう厳しいスタンス維持を表明。利上げ到達値が上昇。
豪州 失業率 5月 3.9% (専門家予測 3.8〜3.9%)
先月と変わらない数値。
英国 政策金利 1.25% (専門家予測 1.25%)
5回連続の異例の利上げ。
米国 失業保険申請件数 229K (専門家予測 215〜240K) ※KはThousand=1,000の意。
先月とほぼ同じ数値。今年3月から上昇傾向。特にカリフォルニア州が多い。
スイス 政策金利 -0.25% (専門家予測 -0.75%)
サプライズ利上げ。2007年以来初。
日本 政策金利 -0.1% (専門家予測 -0.1%)
イールドカーブコントロール(金利が上がり過ぎないように中央銀行が国債を買ってレートを維持するアクション)を頑なに維持する姿勢を表明。日本円暴落。
欧州 インフレーション指数 5月最終 8.1% (専門家予測
8.1%)
米国同様に上昇傾向。
一番大きな影響があったのは米国中央銀行の大幅な利上げと、インフレーションおよび政策金利の到達値の大幅な上方修正でした。ヨーロッパの中央銀行が緊急ミーティングを開いてインフレーションの見通しを大幅に後ろ倒しにした直後に、米国中央銀行も同様の見通しを公表しました。どちらもインフレーションが4月でピークアウトするシナリオから、年内は高い水準が維持されるシナリオに変わっています。
特に米国の中央銀行はインフレーションが下がり始めるまで利上げし続けるスタンスなので、それがいつになるのか不透明な状況になっています。利上げフェーズが終了し、QT(※8)が終了するまで株価の上昇トレンドが生まれにくいため、投資家のセンチメントは下がっているように見えます。
また、米国中央銀行のニューヨーク支局のレポートによると、リセッションに至る確率が80%で回避できる確率が10%という試算を出しているようです。他にもリセッションに至る可能性については随分と多く報道されています。加えて、S&P500指数が正式なベアマーケット(直近の最高値から20%以下の領域)に入ったことで悲観的な見方が増えているように思います。
下のチャートはS&P500の年初からの値動きのパーセンテージをグラフ化したもので、2022年(ブルー)と2008年(レッド)が表示されています。2008年は20%を割ったあたりから加速的に下落していて、2022年はちょうど20%を割ったところなので、警戒感が強くなっている気がします。
2008年はリーマンブラザーズという金融機関が破綻したことをきっかけに下落が加速し、-50%近くまで一気に下がっています。同様の大きな破綻が無ければ大げさな下落は起こらないように思いますが、リセッションが数値で確認されることを見込んでもう少し下がっていくように思います。
大きな山場を超えてこの1週間は比較的静かな週になりそうです。6月23日に各国で公表されるPMI(※9)データによりGDPNowのデータが更新されるので、予測どおり先月より下がる傾向が見えるとGDP速報値もマイナスになり正式にリセッションのフラグが立ちます。同日に米国で公表される失業保険申請数もチェックしておくと良いと思います。予測より大きく上振れしていると株価が下がるトリガーになると思います。
それから住宅マーケットがピークアウトし始めていると言われているので、住宅販売関連のデータも興味深いところです。住宅マーケットは株式マーケットよりゆっくりとトレンドが動くと言われていて、いまの株価の下落トレンドを追いかけるように下がり始めているのではないかと言われています。
次の週の主な経済データ
6月21日 豪州 中銀議事録
6月21日 米国 現存住宅販売指数 5月(専門家予測 5.3M〜5.39M)※MはMillion=100万の意。
6月22日 英国 インフレーション指数 5月(専門家予測 9.1〜9.2%)
6月22日 加国 インフレーション指数 5月(専門家予測 7.0〜7.5%)
6月23日 世界 景気指数(PMI) 6月速報値(専門家予測 先月より低下)
6月23日 米国 失業保険申請数(専門家予測 225K〜227K)
6月24日 日本 インフレーション指数(専門家予測 2.3%)
6月24日 英国 小売売上指数 5月(専門家予測 -0.9〜-0.3%)
6月24日 米国 EIA原油備蓄(専門家予測 --)
6月24日 米国 新規住宅販売数 5月(専門家予測 0.585M)※MはMillion=100万の意。
8. QTは、Quantitative
Tighteningの略で量的緩和の逆の意味になります。具体的なアクションとしては中央銀行が保有資産を売却し、マーケットの流通通貨量を減らしていきます。流通している通貨の量が減ると相対的に通貨の価格=購入パワーが上がり、目に見えるところではあらゆるものの価格が下がる効果があります。株式などの資産価額も効果の対象になります。
9. PMIは、Purchase Manager
Indexの略で、各企業の役員に調査して集計される景気指数です。米国では毎月数百社に調査が行われ、新規注文、生産、仕入れ、雇用、支出について算出されます。50以上で成長、50以下で減退を示します。
S&P500ボラティリティ指数 VIX
S&P500のボラティリティ指数VIX(※10)は、インフレーション指数の公表後に大きくジャンプしてから高い数値をキープしています。下降トレンドラインをタッチしていますが、30以上は急激な変動が起こりやすいので注意が必要です。
TAKEAWAYS
- 高い数値をキープ。
- 急激な変動が起こりやすいので注意。
10.
VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。
S&P500指数ETF SPY
S&P500指数(※11)をトラックするETF
SPYは、前週に続き大きく下がっています。最安値を更新して、正式にベアマーケットの領域に入りました。ちょうど200EMA(※12)ラインにタッチしているので、少し反発があるかもしれません。過去のデータと比べると、フィボナッチ(※13)-85.4%ラインを下に抜けるとさらに下がることが多いようなので、一時的に反発してもまた下がっていく可能性が高いように見えます。
TAKEAWAYS
- 直近最安値を更新して正式にベアマーケット領域に下落。
- 200EMAラインに到達。
- 一時的に反発しても、また下がる可能性。
11.
S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
12.
EMAは、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均値と重なりやすいように、画像の中では10EMA(イエロー)、50EMA(オレンジ)、200EMA(レッド)を表示しています。
13. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。
ダウ工業指数ETF DIA
Dow Jones Industrial Average(※14)をトラックするETF
DIAは、2週連続で同じくらい大きく下がっています。200EMAラインにタッチしていて、ボリンジャーバンドの外にはみ出しているので、一時的に反発するかもしれません。今回のクラッシュは比較的テクノロジーセクターの方がダメージが大きいですが、このセクターも間も無くベアマーケット領域に落ちそうです。一度ベアマーケット領域に落ちるとさらに加速して下がる可能性があります。一時的に反発してもフィボナッチ-61.8%ラインでは跳ね返るように見えます。
TAKEAWAYS
- 間も無くベアマーケット領域。
- 200EMAラインに到達。
- 一時的に反発してもさらに下がることを警戒。
14. Dow Jones Industrial
Averageは、米国の株価を重視して重み付けした上位30社の価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
NASDAQ100指数ETF QQQ
TAKEAWAYS
- 直近最安値を更新して200EMAラインを下落。
- まだ下がる余地が大きく見える。
15.
NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
RUSSEL2000指数ETF IWM
RUSSEL2000指数(※16)をトラックするETF IWMは、重要なサポートラインになっていたフィボナッチ-23.6%ラインを割って、比較的に大きく下がっています。ボリンジャーバンド(※17)からだいぶはみ出しているので、一時的に反発してバンドの内側に戻るかもしれませんが、過去のデータを見ると他の指数より上にも下にも大きく振れるので、今はさらに下に振れることを想定しておいたほうが良さそうに見えます。
TAKEAWAYS
- フィボナッチ-23.6%ラインを割って大きく下落。
- さらに大きく下がる可能性。
16.
RUSSEL2000は、時価総額上位3000社を集めたRUSSEL3000の下から2000社を集めた指数です。この2000社がRUSSEL3000の時価総額の10%を占めていて、米国経済の健康状態を測る目安とされている指数です。米国の中小企業をいっぱい集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
17. ボリンジャーバンドは、チャート分析に使われるテクニカル指標のひとつで、移動平均と標準偏差の組み合わせで構成されています。指定期間の標準偏差を用いて値動きの可能性をラインで表示し、移動平均を挟んで上下に帯のように表示されます。変動可能性が大きい時は幅が広がり、小さい時は狭くなります。狭くなった後は次に大きく動く可能性が高くなります。
日本株式ETF EWJ
TAKEAWAYS
- サポートラインを突き破って下降中。
- 見えている範囲を超えて下落を続ける可能性。
- 他の指数に先行してすでに3週連続下落。
18. EWJは、米国マーケットに上場しているETFで、日本株式の時価総額の上位263社を保有しています。
ビットコイン米ドルレート BTC/USD
ビットコインの米ドル価格BTC/USDのレートは、とうとう$25,000〜$30,000あたりの買いニーズゾーンを突き破り、200EMAラインを割って下降しています。インフレーション抑制の金融引き締めから回復する見込みが大きく後ろにずれたことがトリガーであるかのように、米国中央銀行が見通しをアップデートした後に大きく下がりました。
そして、重要とされていた$20,000のラインを下に割って下がっています。過去のクラッシュの暴落率の平均は88%なので、今回もそこまでいくとしたら$10,000付近まで下がる可能性は想定範囲内になります。史上最高値から88%下がると、ちょうどフィボナッチ-61.8%ラインと-85.4%ラインの間になります。その辺りで10週間ほど停滞してから上昇していくシナリオも想定しておくと良さそうです。
ビットコインの過去のクラッシュの暴落率 平均88%
2017 クラッシュ -84%
2013 クラッシュ -87%
2011 クラッシュ -94%
TAKEAWAYS
- $20,000ラインを割って大きく下落。
- フィボナッチ-61.8%ラインあたりまでは現実的な下落幅。
- 2〜3年スパンで見ればすでにお買い得。
おまけ
2001年や2008年のクラッシュの際には、先に株式指数が下降を始め、追いかけるように原油価格が下降しています。そして原油価格は株式指数より大きく動くことが多く、80%ほど下がっています。今回もそのパターンになる場合、最終的に$20を割るところまで落ちるかもしれません。
中央銀行の強烈な引き締めにより、経済的に需要が殺されてきています。旅行やレジャーで大きなニーズのある夏シーズンの到来を前に下降を始めているかもしれません。
TAKEAWAYS
- 株式指数を追いかけるように下落。
- 上昇トレンドラインを下に割ると大きく下降していく可能性。
- 過去のクラッシュと比較すると、$20まで下がる可能性。










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