マーケットレビュー Weekly : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - May 30-June 3, 2022

マーケットレビュー Weekly : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - May 30-June 3, 2022


はい、みなさんこんにちは!
クリエイティブ、テクノロジー、投資ファンのこーじです。

5月30日週のマーケットレビューをお届けします。

世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※1)である米国マーケットをレビューすることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※2)のインサイトを見つけることができればと思っています。


さて、今週はリセッション(※3)の不安が再来して、大きく上昇した先週の勢いを弱めて少し下がっています。特に影響が大きかったのはテスラ社の人員削減に関する報道であったと思います。現状は雇用環境に著しい変化はありませんが、専門家の予測よりも良い状態を維持できていることがさらなる金融引き締めを警戒させているようです。

チャート分析のテクニカル指標が分岐点を示している中、来週はインフレーションの数値発表があります。まだベアマーケットラリー(※4)が続くという見方の専門家もいるようですが、少し先の経済の見通しが厳しいと言っているビジネスオーナーが多いようです。

先週の上昇の勢いはまだ残っているように見えるので、各セクターの状況を見てみましょう!

1. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
2. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
3. リセッションは、景気後退を指し、正式な定義では2四半期連続でGDPがマイナス成長の状態を指します。主な原因はインフレーションを抑制するための中央銀行の政策金利の引き上げが急激なことにより起こることが多いようです。リセッションになると小さな企業が破綻しやすくなり、失業率が加速的に上昇しはじめます。
4. ベアマーケットラリーは、ベアマーケット(長期間下降トレンドが続く時期のマーケットを指します)の中に発生する上昇トレンドで、短期間のうちに強い勢いで株価が上昇します。







Table of Contents

  • 直近の主な経済データについて
  • S&P500ボラティリティ指数 VIX
  • S&P500ETF SPY
  • Dow Industrial Average ETF DIA
  • NASDAQ100 ETF QQQ
  • RUSSEL2000 ETF IWM
  • 日本株式ETF EWJ
  • ビットコイン米ドルレート BTC/USD




直近の主な経済データについて

今週は以下の公表がありました。


ヨーロッパ圏インフレーション率 5月速報値 +8.1% (専門家予測 +7.6〜+7.7%)
予測を超える上昇がセンシティブなマーケットを刺激しているように見えます。地政学リスクの影響が最も大きいエリアなので、ここのインフレーションが落ち着いてこないとマーケットのセンチメントが改善しにくいように見えます。

オーストラリアGDP成長率 4月 +3.3% (専門家予測 +2.7〜+2.9%)
コモディティ価格の高騰に恩恵を受けているためか、専門家の予測より高い数値でした。

ヨーロッパ圏失業率 4月 +6.8% (専門家予測 +6.8%)
専門家予測とぴったりの数値で前月から変わりなしの結果でした。

米国製造業景況指数 5月 56.1 (専門家予測 54.5〜54.8)
専門家予測より高い数値でした。

月次ADP雇用件数(※5) 5月 +128K (専門家予測 +205K〜+300K)
専門家の予測の半分近く低い数値だったことが、中央銀行のスタンスが柔らかくなる期待につながっているかもしれません。

週次失業申請件数 200K (専門家予測 210K〜214K)
専門家の予測より低いことが、失業率上昇の懸念を和らげているように思います。過去のデータを見ると300Kを超えてくると失業率が上昇してくるようなので、もう少し余裕があるかもしれません。

週次EIA原油備蓄量 -5.068M (専門家予測 -1.35M)
専門家予測より低く、3週間連続でマイナスになっています。過去のデータを見るとプラスマイナス10Mくらいの幅で変動しているので、実質的な問題は特に無いと思います。ただ、トレーダーの心理には影響するので、マイナスになっていると原油価格は上がりやすいように見えます。

米国失業率 5月 3.6% (専門家予測 3.5%)
先月と同じ数値なので状況は特に変わりなしですが、専門家の予測より高い数値だったことは、これから失業率が上がっていく懸念の不安材料になっていると思います。

米国雇用統計 5月 390K (専門家予測 320K〜325K)
ここ1年の中で最も低い数値ですが、雇用環境が専門家の予測より強いことが、中央銀行の利上げペースの心配に結びついているように見えます。



今週発表された経済データは、雇用環境は健全な状態を維持しているということと、インフレーション率がまた上がってしまう不安が募る内容であったように思います。特に原油備蓄の消費から価格が再び高騰しているので、インフレーション率への影響はかなり大きいと思われます。また、航空業界のETFが大きく下がっているところを見ると、燃料価格の高騰が観光産業にダメージを与えることが予測されているように見えます。

経済の先行きに関しては悲観的な観測が主流になっている中、現在確認できるデータではまだ健全を保っているので、リセッション回避の希望は潰えていないように見えます。ただ、消費者のセンチメントはすでにリセッションの中にいるときと同じ状態になっているので、数値でリセッションが確認できるようになるのを待っているようにも見えます。

次のチェックポイントは、週後半に公表される予定の米国失業申請件数と米国インフレーション指数になると思います。特にインフレーション指数は政策金利の利上げに密接な関係があるので、専門家の予測通り前月と同じ8.3%か下がっても8%台だった場合は、さらなる利上げの織り込みをするために株価が大きく下がる可能性が高いと思います。


来週の主な経済データ発表
6月7日 オーストラリア中銀政策金利 (専門家予測 0.6%)
6月7日 米国貿易収支 (専門家予測 -91B〜-89.3B)※BはBillion=10億の意味
6月8日 米国卸在庫 4月 (専門家予測 2.1%)
6月8日 EIA原油備蓄
6月9日 ヨーロッパ中銀政策金利 (専門家予測 0%)
6月9日 米国週次失業申請件数 (専門家予測 205K〜207K)
6月10日 米国インフレーション指数年率 (専門家予測 8.3%)
6月10日 米国消費者センチメント指数 (専門家予測 58.2〜59)

5. ADP雇用件数は、米国の非上場企業の雇用件数の変動を測る指標で、およそ2,400万人を対象とする給与支払い履歴から算出する月次データです。







S&P500ボラティリティ指数 VIX  -3.72%  ▼


S&P500のボラティリティ指数VIX(※6)は、先週より少し下がっています。徐々に株価が下がる方向に保険をかけている人が減っていることを示しています。昨年11月からの上昇トレンドの下限(画像の下の方にある白い矢印)までもう少し余裕があるので、まだVIX指数は下がって株価が上がる余地はありそうです。来週金曜日のインフレーション指数がトリガーになって、予測に反してインフレーション指数が7%台に下がっていたらVIXが大きく下がって株価は上がると思います。ただ、逆の場合は逆に大きく動くと思います。

6. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。




S&P500指数ETF SPY   -1.12%  ▼


S&P500指数(※7)をトラックするETF SPYは、前週より少し下がってギャップ(※8)の上に乗っています。前週の上昇の勢いを打ち消すほどの動きではありませんが、10EMA(※9)ラインの下で押し戻されているので、まだ下降トレンドの中にいます。ギャップの上を維持できればベアマーケットラリーが継続すると思いますが、フィボナッチ(※10)-23.6%ラインと重なっているギャップの下に落ちてしまうと直近安値を更新していくように見えます。

7. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
8. ギャップは、前日のローソク足と当日のローソク足に開きがあることをさします。テクニカル指標で指値を検討する際にギャップの中に設定されにくいため、ギャップの上か下かで値動きに大きな影響を与えると考えられます。
9. EMAは、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均値と重なりやすいように、画像の中では5EMA(淡いイエロー)、10EMA(イエロー)、25EMA(淡いオレンジ)、50EMA(オレンジ)、100EMA(淡いレッド)、200EMA(レッド)を表示しています。
10. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。







ダウ工業指数ETF DIA   -0.82%  ▼


Dow Jones Industrial Average(※11)をトラックするETF DIAは、フィボナッチ0%ラインを抜けられずに留まっています。前週に比べると小さな動きなので、様子見の状態と思います。10EMAラインよりも下なので、まだ下降トレンドの中にいるため、下がりやすい状態は変わっていません。フィボナッチ-23.6%ラインで反発しなければ、直近安値を更新してさらに下がっていくように見えます。

11. Dow Jones Industrial Averageは、米国の株価を重視して重み付けした上位30社の価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。






NASDAQ100指数ETF QQQ    -0.92%  ▼


NASDAQ100指数(※12)をトラックするETF QQQは、ちょうどフィボナッチ0%ラインと10EMAラインが重なるところで跳ね返されているように見えるので、さらなる下降をしやすいように見えます。前週からはあまり動いていないので、フィボナッチ-23.6%ラインで反発できればベアマーケットラリーを継続すると思います。

12. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。





RUSSEL2000指数ETF IWM    -0.32%  ▼

RUSSEL2000指数(※13)をトラックするETF IWMは、フィボナッチ0%ラインを越えられずにいますが、粘り強く耐えています。すでに200EMAラインに達しているので、チャート上は割安に見えます。一方で、2001年や2008年の頃の状況を見ると、他の指数と比べて上下に大きく動いているため、前週の上昇はとても弱く見えます。このセクターが下降を続けるとすると、他のセクターも下降を続ける可能性が高いように思います。逆に金曜日のインフレーション指数が大きく下がっていたりした場合、このセクターがリードして大きく上昇すると思います。いまのところ、それ以外で上がる要因は無さそうに見えます。

13. RUSSEL2000は、時価総額上位3000社を集めたRUSSEL3000の下から2000社を集めた指数です。この2000社がRUSSEL3000の時価総額の10%を占めていて、米国経済の健康状態を測る目安とされている指数です。米国の中小企業をいっぱい集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。


日本株式ETF EWJ    -2.28%  ▼


日本株式をトラックするETF EWJ(※14)は、10EMAラインに跳ね返されてギャップの上まで落ちています。米国の他の指数より2か月早く下降トレンドに入っていて、直近では3週間連続で上昇していました。そして前週の安値を下回る下降をしているので、もっと下がるように見えます。2001年や2008年の頃を見てみると、10EMAラインを抜ければ、つぎは50EMAラインを目指す流れがあります。10EMAラインを抜けられない場合は、繰り返し跳ね返されて下降しています。今回はギャップで反発できなければ、10EMAラインの下でさらに下がっていくと思います。

14. EWJは日本株式の時価総額の大きい順に上から263社を保有しています。





ビットコイン米ドルレート BTC/USD   +1.17%  △


ビットコインの米ドル価格BTC/USDのレートは、かれこれ1か月ほど52週安値ライン付近で停滞しています。ボリンジャーバンド(※15)の下側のバンドに当たって内側に戻されているようにも見えますが、2010年のローンチ以来、200EMAラインより大きく下に下がったことがないようです。そして、200EMAラインにちょうど達しているところになります。

2018年の下落時のチャートが同じような形をしているのでサンプルとして見ると、200EMAラインよりさらに20%ほど下がったところで、10週間ほど同じ価格帯で停滞した後に上昇をはじめています。直前のピークからボトムまでは84%ほど下がっています。

いまは直前ピークから-63%で、まだ200EMAラインの上にいます。そして、停滞3週間です。同じようなパターンを想定すると、さらに-20%下落($24,000あたり)の可能性と、1〜2か月の停滞の可能性があると思います。

今回が過去と違ったパターンになる可能性もあると思いますが、5回以上も同じような急激な下落をして、その度に最高値を何倍も上回ってきているので、かなりタフなことが証明されていると思います。新時代の通貨基盤としても期待は変わらずにあると思いますので、毎月ちょっとずつ買うオススメには賛成します。


15. ボリンジャーバンドは、チャート分析に使われるテクニカル指標のひとつで、移動平均と標準偏差の組み合わせで構成されています。指定期間の標準偏差を用いて値動きの可能性をラインで表示し、移動平均を挟んで上下に帯のように表示されます。変動可能性が大きい時は幅が広がり、小さい時は狭くなります。狭くなった後は次に大きく動く可能性が高くなります。










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