マーケットレビュー Weekly : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - June 6-10, 2022
マーケットレビュー Weekly : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - June 6-10, 2022
はい、みなさんこんにちは!
クリエイティブ、テクノロジー、投資ファンのこーじです。
6月6日〜10日のマーケットレビューをお届けします。
世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※1)である米国マーケットをレビューすることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※2)のインサイトを見つけることができればと思っています。
KEY TAKEAWAYS
- 日本株式ETF EWJ(※3)が先行して下降。
- ベアマーケットラリー(※4)は終わり下降トレンドに戻っている。
- キャピチュレーション(※5)でさらに下がる可能性。
- FOMC(※6)後に利上げ幅の再織り込みで動くことに注意。
米国インフレーション指数が予想に反して40年来の最高値を更新。マーケットの予測していたインフレーションのピークアウト時期がずれていたことで、政策金利の利上げ幅も再度織り込みが必要になっています。
ベアマーケットラリーと共に楽観的なシナリオが生まれていたので、直近最安値あたりで反発を期待している人が少なからずいると思われます。その価格を下回るとキャピチュレーションと呼ばれる一斉売却により、株価が大きく下がるかもしれません。すでに利上げ幅の予測(※7)が上がりはじめていますが、その予想を超える内容が明らかになると下降が加速します。
いまの状況に対する米国中央銀行のスタンスの変化、それから利上げペースの変化がFOMCのプレスカンファレンスで話されると思われます。楽観的な期待は持てませんが、注目度がかなり高くなっていると思われます。
ということで、各セクターの状況を見てみましょう!
1. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
2. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
3. EWJは、日本株式の時価総額の上位263社を保有しています。
4. ベアマーケットラリーは、ベアマーケット(長期間下降トレンドが続く時期のマーケットを指します)の中に発生する上昇トレンドで、短期間のうちに強い勢いで株価が上昇します。
5. キャピチュレーションは、上昇トレンドを期待して保有している投資家が諦めて売却すること。これが起きると急激に価格を押し下げることが多いと言われています。
6. FOMCは、Federal Open Market Committeeの略で、米国中央銀行の金融政策決定会合のような位置付けのものです。この会議で政策金利が決定され、QE(金融緩和)やQT(金融引締め)の計画内容と進行状況が話されます。議事録には公表されていない将来の施策や、現在のマーケットの展望などが含まれるため世界の投資機関が注目しています。
7. 政策金利利上げ予測は、CME Groupが提供しているFed Watch Toolで表示される将来の金利予測を指します。この予測値は金利の先物価格の推移から計算されているため、投資家の推測値の指標となっています。
Table of Contents
- 直近の主な経済データについて
- S&P500ボラティリティ指数 VIX
- S&P500ETF SPY
- Dow Industrial Average ETF DIA
- NASDAQ100 ETF QQQ
- RUSSEL2000 ETF IWM
- 日本株式ETF EWJ
- ビットコイン米ドルレート BTC/USD
- おまけ
直近の主な経済データについて
今週は以下の経済データが公表されました。
オーストラリア中銀政策金利 0.85% (専門家予測 0.6%)
マーケットにとってサプライズの利上げ。インフレーション問題の深刻化の表れ。
米国貿易収支 -$87.1B (専門家予測 -$91B〜-$89.3B)※BはBillion=10億の意
経済が縮小している表れ。
米国卸在庫 4月 2.2% (専門家予測 2.1%)
歴史的に速い増加スピード。インフレーション抑制の要因になる。
EIA原油備蓄 2.025M (専門家予測 -1.917M)※MはMillion=100万の意
OPECが原油の値上げをしているので原油価格は上昇継続。
ヨーロッパ中銀政策金利 0% (専門家予測 0%)
インフレーションの見通しが悪化。来月から利上げ。
週次米国失業申請件数 229K (専門家予測 205K〜207K)※KはThousand=1,000の意
増加継続。リセッションのサインとしてマーケットが神経質に反応。
米国インフレーション指数年率 8.6% (専門家予測 8.3%)
40年来の最高値を更新。原油価格の影響で想定より深刻なインフレーション。
米国消費者センチメント指数 50.2 (専門家予測 58〜59)
2008年を下回る水準に低下。リセッションの現実味が増加。
7週間続いた歴史的な株価の下落からようやく一次的に回復した後、リセッション回避の希望をかけたインフレーション指数がさらに最高値を更新した事で株価は再び大きく下落しました。主な原因は原油価格の高騰ですが、需要を殺す以外に抑える方法がなくなってきているように見えます。
センチメント指数はすでに深刻なリセッションの中にいる状態になっているので、さらに金融引き締めが加速していくとなると、専門家が繰り返し繰り返し言っているようにリセッションは避けられないかもしれません。
来週のFOMCのプレスカンファレンスで、パウエル議長のコメントから、中央銀行のインフレーションの見通しと、それに対応するための利上げ幅の変更が注目点と思われます。先々週に中央銀行のメンバーから少し早めの金融緩和についてコメントがあったので、今年の9月から利上げが緩んでいく楽観シナリオが生まれていました。今はそのシナリオが完全に破り捨てられ、もう一度最悪シナリオを考えようとしているので、最も重要なターニングポイントは日本時間の木曜の早朝(木曜3:30AM)になると思います。
来週の主な経済データ発表
6月13日 英国 月次GDP成長率4月(専門家予測 0%〜0.1%)
6月14日 英国 失業率4月(専門家予測 3.6%〜3.7%)
6月14日 米国 製造物価指数(PPI) 5月(専門家予測 0.7%〜0.8%)
6月15日 米国 小売売上指数 5月(専門家予測 0.2%〜0.3%)
6月15日 米国 EIA石油備蓄(専門家予測 0.2%〜0.3%)
6月16日 米国 政策金利(専門家予測 1.5%)
6月16日 米国 FOMCプレスカンファレンス
6月16日 豪州 失業率5月(専門家予測 3.8%〜3.9%)
6月16日 英国 政策金利(専門家予測 1.25%)
6月16日 米国 失業申請件数(専門家予測 215K〜240K)
6月17日 欧州 インフレーション指数(専門家予測 8.1%)
S&P500ボラティリティ指数 VIX
S&P500のボラティリティ指数VIX(※8)は、インフレーション指数の公表後に大きく上がり、トレンドが転換したように見えます。昨年末から続く上昇トレンドの中にいるので、これからさらに上がる可能性が高そうです。インフレーション指数がピークアウトする見込みが外れていることが判明したので、政策金利の利上げ幅の織り込みもずれていることになります。FOMC後に再織り込みすると思われるので、週の真ん中に大きくスパイクがあるかもしれません。
TAKEAWAYS
- インフレーション指数をきっかけに上昇。
- 昨年末から続く上昇トレンドに戻っているように見える。
- FOMC後に利上げ幅の再織り込みでスパイクすることを警戒。
8. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。
S&P500指数ETF SPY
S&P500指数(※9)をトラックするETF SPYは、フィボナッチ(※10)0%ラインを上に抜けることはできず、再び下降トレンドに戻っています。直近最安値を作った秋の終値に到達しているので、さらに下がりそうに見えます。フィボナッチ-61.8%ラインを下に抜けると、反発に期待して保有している人たちの売却が始まり、200EMA(※11)ラインを目指して大きく下がる可能性が高くなります。
TAKEAWAYS
- 直近最安値を更新する可能性が高い。
- キャピチュレーションにより200EMAラインを目指す可能性を警戒。
9. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
10. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。
11. EMAは、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均値と重なりやすいように、画像の中では10EMA(イエロー)、50EMA(オレンジ)、200EMA(レッド)を表示しています。
ダウ工業指数ETF DIA
Dow Jones Industrial Average(※12)をトラックするETF DIAは、フィボナッチ0%ラインに拒絶されて大きく下がっています。フィボナッチ-61.8%ラインに直近最安値があるので、ここが重要なサポートラインになります。これを下に抜けるとキャピチュレーションが起こり、200EMAラインに向かって大きく下がりそうです。
TAKEAWAYS
- フィボナッチ-61.8%ラインが重要なサポートライン。
- 200EMAラインを目指して下がる可能性。
12. Dow Jones Industrial Averageは、米国の株価を重視して重み付けした上位30社の価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
NASDAQ100指数ETF QQQ
TAKEAWAYS
- 直近最安値を更新する可能性。
- 他より比較的下がっていないように見える。
- 200EMAラインより下に下がる可能性を警戒。
13. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
RUSSEL2000指数ETF IWM
RUSSEL2000指数(※14)をトラックするETF IWMは、フィボナッチ0%ラインを上に抜けることができず、200EMAラインの下まで大きく下がりました。まだフィボナッチ-23.6%ラインの上にいるので、下に抜けると直近最安値を更新して大きく下がりそうです。
TAKEAWAYS
- 200EMAラインの下に再下降。
- 直近最安値を更新して大きく下がる可能性。
14. RUSSEL2000は、時価総額上位3000社を集めたRUSSEL3000の下から2000社を集めた指数です。この2000社がRUSSEL3000の時価総額の10%を占めていて、米国経済の健康状態を測る目安とされている指数です。米国の中小企業をいっぱい集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
日本株式ETF EWJ
TAKEAWAYS
- 他の指数に先行して下降中。
- 直近最安値の近くまで到達。
15. EWJは、米国マーケットに上場しているETFで、日本株式の時価総額の上位263社を保有しています。
ビットコイン米ドルレート BTC/USD
ビットコインの米ドル価格BTC/USDのレートは、52週安値ラインの下まで下がっています。ビットコインの動きにしては小さいので、まだ同じ価格帯でのフラットな推移が継続しているように見えます。インフレーション指数のピークアウト時期が外れていたことから、経済の見通しを考え直していると思われるので、$30,000以下の買いのニーズにもポーズがかかるかもしれません。その場合、200EMAラインの下まで急激に下がる可能性もあるので警戒が必要かもしれません。ボリンジャーバンドの内側に戻って下がりはじめたところにも見えます。
TAKEAWAYS
- 値動きはフラットの範囲。
- $30,000以下の買いのニーズにポーズがかかると急激な下落が起きる可能性。
おまけ
TAKEAWAYS
- 安全資産ニーズで上昇。
- 上昇トレンドと下降トレンドがぶつかるところ。









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