株 チャート分析 & 経済データ Daily:ちょっと不安
6月27日のマーケットの経済データとチャート分析をお届けします。
KEY TAKEAWAYS
- GDPNow(※1)はプラスに転換。
- 原油価格が上がり、金利予測(※2)も上がっている。
- 株価指数は下降トレンドラインが近づいて停滞。
G7サミットが開催されている中、原油価格が再び上昇しています。NATOが防衛体制を強めていることから、少しずつ緊張感が増しているように思います。一方、今四半期のGDP成長率を推測するGDPNowの数値がアップデートされ、0.0%から0.3%に上昇しました。実際には良いことが今の株価にとってはマイナスに働くので、上昇の勢いがあるものの反転する心配があります。
リセッション(※3)になれば金融政策は緩和されるので、株価にとってはポジティブに働きますが、数値的にリセッションとされるのは少し先になりそうな雰囲気になっています。それから原油価格がまた上がってしまうと、さらに利上げがキツくなる可能性が上がるので、この2つが大きな懸念材料に見えます。
ただ、新しい懸念材料はいまのところ特になさそうなので、もう少し回復しても良さそうに見えます。とてもミックスした状況ですが、ベアマーケット(※4)の中にいることは変わっていないので、過度に上昇に期待しないほうが良い状況が続いていると思います。
1. GDPNowは、米国中央銀行アトランタ支局が提供するレポートで、日々の経済データを元に現在の四半期のGDP推測値を算出するものです。正式な予測値ではありませんが、向かっている方向を探る手掛かりになっています。
2. 米国金利予測は、CME Groupが提供しているFed Watch Toolで表示される将来の金利予測を指します。この予測値は金利の先物価格の推移から計算されているため、投資家の推測値の指標となっています。
3. リセッションは、景気後退を指し、正式な定義では2四半期連続でGDPがマイナス成長の状態を指します。主な原因はインフレーションを抑制するための中央銀行の政策金利の引き上げが急激なことにより起こることが多いようです。リセッションになると小さな企業が破綻しやすくなり、失業率が加速的に上昇しはじめます。
4. ベアマーケットは、長期的に下降トレンドが続く時期を指し、正式には直近の史上最高値から20%以上下がった価格帯まで下がっている状態を指します。
世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※5)である米国マーケットを見ることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※6)のインサイトを見つけることができればと思っています。
5. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
6. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
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直近の主な経済データについて
この1週間は以下の経済データが公表されました。
米国 GDPNow 0.3% (前回 0.0%)
前回の0.0%から回復し、リセッションを免れる可能性。
GDPNowがアップデートされ、マイナスに落ちずに0.3%に上がりました。この推測値どおりQ2のGDP成長率がマイナスにならなければ、正式にリセッションとはなりません。数値的にリセッションではないということは、中央銀行が利上げを緩める時期が少し先に伸びるように思います。金利予測が上がっているのも、そうした影響がありそうな気がしています。
次回のGDPNowアップデートは6月30日に予定されているので、要チェックと思います。
今週の主な経済データ
6月28日 米国 卸在庫指数(専門家予測1.9%、前回2.2%)
6月28日 米国 住宅価格指数(専門家予測21%、前回21.2%)
6月28日 独国 インフレーション指数 6月速報値(専門家予測7.9%、前回7.9%)
6月30日 仏国 インフレーション指数 6月速報値(専門家予測5.5〜5.6%、前回5.2%)
6月30日 独国 失業率 6月(専門家予測5.0%、前回5.0%)
6月30日 欧州 失業率 5月(専門家予測6.8%、前回6.8%)
6月30日 米国 失業保険申請数(専門家予測218K〜227K、前回229K)
6月30日 米国 GDPNowアップデート(前回0.3%)
7月1日 欧州 インフレーション指数 6月速報値(専門家予測8.3%、前回8.1%)
S&P500ボラティリティ指数 VIX(※7)
KEY TAKEAWAYS
- 下がっているけれど緩やか。
- まだ高い数値なので大きな変動に注意。
- 50EMA(※8)ラインで反転する可能性。
7. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。
8. EMAは、Exponential Moving Averageの略で、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均値と重なりやすいように、画像の中では10EMA(イエロー)、50EMA(オレンジ)、200EMA(レッド)を表示しています。
S&P500指数ETF SPY(※9)
KEY TAKEAWAYS
- ギャップ(※10)を抜けきれていない。
- 上昇トレンドに変わりそうなので、もう一回上昇を試す可能性がありそうに見える。
- トレンドラインまで上昇する幅があまり残っていない。
9. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
10. ギャップは、前日のローソク足と当日のローソク足に開きがあることをさします。テクニカル指標で指値を検討する際にギャップの中に設定されにくいため、ギャップの上か下かで値動きに大きな影響を与えると考えられます。
NASDAQ100指数ETF QQQ(※11)
KEY TAKEAWAYS
- フィボナッチ(※12)-23.6%ライン&トレンドラインで反転している。
- ゴールデンラインの下に落ちるとギャップの下まで下がりそう。
11. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
12. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率を出すと61.8%になります。チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いのが特徴です。
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