マーケットレビュー Daily : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - May 31, 20
マーケットレビュー Daily : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - May 31, 2022
はい、みなさんこんにちは!
クリエイティブ、テクノロジー、投資ファンのこーじです。
今回は5月31日のマーケットレビューをお届けします。
世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※1)である米国マーケットをレビューすることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※2)のインサイトを見つけることができればと思っています。
ヨーロッパのインフレーション(※3)が8.1%という予測を超える上昇を見せていることから、インフレーションの不安が再燃しているように見えます。政策金利の利上げ予測(※4)もまた少し高い方にシフトしているようです。
先週の上昇ムードはまだ消えていないようですが、今週の雇用関係の経済データが今後の展開の鍵になりそうです。全体的には変動が1%以内で統計的には普通の範囲にいるので、上昇ムードは継続中と見えます。一方、仮想通貨は比較的に強く、ほとんど下がらずに少し上昇しています。ということで、各セクターの状況を見てみましょう!
1. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
2. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
3. インフレーションは、消費者物価指数を主に対象とした価格の高騰を指します。原油価格の高騰が食料や工業製品などその他産業の物価に影響を与えてインフレーションを起こすことが多いです。価格が上がりすぎると需要が落ち込み、経済活動が急激に低下して景気後退に陥ります。
4. 政策金利利上げ予測は、CME Groupが提供しているFed Watch Toolで表示される将来の金利予測を指します。この予測値は金利の先物価格の推移から計算されているため、投資家の推測値の指標となっています。
直近の主な経済データについて
昨日は以下の公表がありました。
ヨーロッパ圏インフレーション率 5月速報値 +8.1% (専門家予測 +7.6〜+7.7%)
予測を超える上昇がセンシティブなマーケットを刺激しているように見えます。地政学リスクの影響が最も大きいエリアなので、ここのインフレーションが落ち着いてこないとマーケットのセンチメントが改善しにくいように見えます。
米国では11月に選挙を控えたバイデン大統領とパウエル中央銀行議長が会談をして、インフレーションの現状と今後の展開について話をしているそうです。選挙のためにはマーケットの回復が望ましいですが、インフレーションを抑えないと結果的に経済が壊れてリセッション(※5)になってしまうので、とても苦しい状況が伝わってきます。
今週は雇用関係の経済データがいろいろ出てきます。特に失業率が上がりはじめるとマーケットはパニックを起こしやすいので、数値発表のタイミングが急激な変動を生みやすいと思います。
今週の主な経済データ発表
6月1日 ユーロ圏失業率4月
6月2日 米国失業申請件数(週次データ)
6月3日 米国失業率5月
5. リセッションは、景気後退を指し、正式な定義では2四半期連続でGDPがマイナス成長の状態を指します。主な原因はインフレーションを抑制するための中央銀行の政策金利の引き上げが急激なことにより起こることが多いようです。リセッションになると小さな企業が破綻しやすくなり、失業率が加速的に上昇しはじめます。
S&P500ボラティリティ指数 VIX -1.32% ▼
S&P500のボラティリティ指数VIX(※6)は、ヨーロッパ時間にインフレーション高騰の影響で上昇したところから徐々に低下して先週よりやや高い位置で止まっています。上昇ムードは消えていないように見えますが、VIXの数値は高い水準なので急激な変動を起こしやすい状況です。今日から米国中央銀行のQT(※7)もはじまるので、雇用関係のデータが出揃うまで慎重なスタンスが良いかもしれません。
6. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は反発のチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。
7. QTは、Quantitative Tighteningの略で量的緩和の逆の意味になります。具体的なアクションとしては中央銀行が保有資産を売却し、マーケットの流通通貨量を減らしていきます。流通している通貨の量が減ると相対的に通貨の価格=購入パワーが上がり、目に見えるところではあらゆるものの価格が下がる効果があります。株式などの資産価額も効果の対象になります。
S&P500指数ETF SPY -0.56% ▼
S&P500指数(※8)をトラックするETF SPYは、先週の終値より少し下がりましたが、ほとんど動かずに終わっています。グリーンの帯でマークしたギャップ(※9)の上を保っているので、まだ上昇ムードが消えていないように見えます。フィボナッチ(※10)0%ラインが近いので少し警戒しても良さそうに見えます。このラインを超えるともう少し上昇すると思います。
8. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
9. ギャップは、前日のローソク足と当日のローソク足に開きがあることをさします。テクニカル指標で指値を検討する際にギャップの中に設定されにくいため、ギャップの上か下かで値動きに大きな影響を与えると考えられます。
9. ギャップは、前日のローソク足と当日のローソク足に開きがあることをさします。テクニカル指標で指値を検討する際にギャップの中に設定されにくいため、ギャップの上か下かで値動きに大きな影響を与えると考えられます。
10. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。
ダウ工業指数ETF DIA -0.56% ▼
Dow Jones Industrial Average(※11)をトラックするETF DIAは、フィボナッチ0%ラインの少し下で止まっています。このラインの上に出られればもう少し上昇するように見えますが、ちょうど50EMA(※12)ラインで止まっているので、ここで跳ね返されると下がる勢いが強くなりそうです。
11. Dow Jones Industrial Averageは、米国の株価を重視して重み付けした上位30社の価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
12. EMAは、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均値と重なりやすいように、画像の中では5EMA(淡いイエロー)、10EMA(イエロー)、25EMA(淡いオレンジ)、50EMA(オレンジ)、100EMA(淡いレッド)、200EMA(レッド)を表示しています。
NASDAQ100指数ETF QQQ -0.27% ▼
13. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
RUSSEL2000指数ETF IWM -1.24% ▼
RUSSEL2000指数(※14)をトラックするETF IWMは、フィボナッチ0%ラインに跳ね返されるように少し下がりました。値動きの幅は小さいので上昇ムードが消えていないように見えますが、先週からは1%以上動いているので普通より大きな動きと言えます。このセクターは経済の先行き不安に敏感なので、政策金利の予測値が上がったり雇用関係のデータが予測より悪いと加速的に売られる傾向があります。いまは少し警戒レベルが上がっているように見えます。
14. RUSSEL2000は、時価総額上位3000社を集めたRUSSEL3000の下から2000社を集めた指数です。この2000社がRUSSEL3000の時価総額の10%を占めていて、米国経済の健康状態を測る目安とされている指数です。米国の中小企業をいっぱい集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
日本株式ETF EWJ -1.27% ▼
15. EWJは日本株式の時価総額の大きい順に上から263社を保有しています。
16. レジスタンスラインは、値動きの波が跳ね返りやすい上限の価格です。過去の値動きで山や谷になっているところと重なることが多く、逆方向の指し値注文が入りやすいところと見られます。
ビットコイン米ドルレート BTC/USD
ビットコインの米ドル価格BTC/USDのレートは、株式マーケットに悲観的なムードが出てもほとんど下がっていないところを見ると、株価とは関係なく動きはじめているように見えます。一番大きな問題はTerraの問題(※17)に起因する仮想通貨全般に対するセンチメントなので、新LUNAの登場をきっかけに徐々に信頼を回復すれば、それに伴って回復していくように思われます。ただ、米国政策金利の上昇は少なくとも9月までハイペースで継続され、今日からQTもはじまるので、毎月少しずつ買っていくのが良い時期だと思います。
17. Terraの問題は、LUNAを発行するTerraform Labsが発行したUST(ステーブルコインと呼ばれる特定通貨と1:1の価格を維持することを目的とした仮想通貨)が、5月10日に価格維持機能に破綻を起こし、価値の担保のように紐付けられていたLUNAと一緒にほぼ0に価値を消失させた問題で、Terraform Labsが大量にビットコインを購入してたことから不安による売却が起きた。このことで他のステーブルコインへの不安を煽り、仮想通貨全般に対するセンチメントが低下している。








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