マーケットレビュー Daily : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - June 9, 2022
マーケットレビュー Daily : SPY, DIA, QQQ, IWM, EWJ, BTC - June 9, 2022
はい、みなさんこんにちは!
クリエイティブ、テクノロジー、投資ファンのこーじです。
6月9日のマーケットレビューをお届けします。
世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※1)である米国マーケットをレビューすることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※2)のインサイトを見つけることができればと思っています。
KEY TAKEAWAYS
- 失業申請件数が予測を超えて上昇。
- 株式マーケットが下降トレンドに戻りはじめている。
- 今晩の米国インフレーション指数公表を警戒。
- ビットコインと金は、株式マーケットと関係なくほとんど価格が動いていない。
昨日は米国の失業申請件数が予測を超えて上昇していることを受けて、マーケットがかなり動揺しているように見えます。ヨーロッパの中央銀行もとうとう来月には利上げをすることを表明し、インフレーションの先行きも前回より長く続く見込みにアップデートされています。
ベアマーケットラリーの勢いはほとんど消えて、また下降トレンドに戻っていくように見えます。今晩のインフレーション指数が奇跡的に大きく改善していたら、また株価が上がっていくと思いますが、あまり良い期待はできそうにないので発表を静かに待つのが良さそうです。
ということで、各セクターの状況を見てみましょう!
1. 株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
2. マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
Table of Contents
- 直近の主な経済データについて
- S&P500ボラティリティ指数 VIX
- S&P500ETF SPY
- Dow Industrial Average ETF DIA
- NASDAQ100 ETF QQQ
- RUSSEL2000 ETF IWM
- 日本株式ETF EWJ
- ビットコイン米ドルレート BTC/USD
直近の主な経済データについて
昨日は以下の経済データが公表されました。
ヨーロッパ中銀政策金利 0% (専門家予測 0%)
専門家の予測どおり今月は政策金利の変更はありませんでした。この決定と一緒に公表されたプレスリリース(参考:ヨーロッパ中央銀行プレスリリース 英語)によると、7月には0.25%利上げを予定していて、9月には状況に合わせて利上げするそうです。インフレーションの見通しは3月より悪化していて、しばらくは高い水準を維持すると考えているようです。
週次米国失業申請件数 229K (専門家予測 205K〜207K)※KはThousand=1,000の意味
5月の最高値を超えて上昇している数値が発表されて、マーケットが動揺しているように見えます。下のグラフでラインが徐々に上向きになってきているのが、マーケットが神経質になっている理由と思われます。これが上がり続けると失業率の数値にも表れるようになり、社会がリセッションの事実を広く認識し始めて、株価はさらに下がりやすくなります。
世界の中央銀行の中でも柔らかいスタンスで有名なヨーロッパの中央銀行が、いよいよ来月に政策金利をあげると発表しました。他国の中央銀行の強いスタンスと比べると、柔らかめの0.25%だそうですが、9月とそれ以降にも利上げを続けるスタンスを表明しているので、インフレーションの深刻さが増していると思います。
そして、週次で公表される米国の失業申請件数が予測を上回る上昇をしていました。これを受けて、マーケットは意気消沈していると思われます。経済がダメージを受けていても、インフレーションが止まらないので中央銀行は厳しい利上げをせざるを得ません。インフレーションが想定より長く続くとしたら、さらなる利上げの織り込みをしていくしかないので、株価にも追加のダメージがやってきます。
ヨーロッパ中央銀行のインフレーションに対する見解が前回よりひどくなっていることもあり、今晩発表される米国のインフレーション指数もあまり期待されていないと思います。エネルギーと食料を除いたコアCPI (Core Price Indexの略)と呼ばれる指数が大きく下がっていたら、もしかしたら少し希望が出るかもしれません。ただ、前日に大きく売られているということは、かなりリスクを感じている表れに見えます。
今週の主な経済データ発表
6月10日 米国インフレーション指数年率 (専門家予測 8.3%)
6月10日 米国消費者センチメント指数 (専門家予測 58.2〜59)
S&P500ボラティリティ指数 VIX +8.89% △
S&P500のボラティリティ指数VIX(※3)は、いままで少しずつ下がってきたのを巻き返すように上昇しています。失業申請件数が予測より多かったことを受けて、全体的に少し楽観的だったところを打ち消そうとしているように見えます。とは言え、注目点は今晩のインフレーション指数なので、大きなスパイクになっていないのだと思います。数値そのものは高い水準を維持していて、どちらの方向にも激しく動く可能性が高いので、特にレバレッジ取引は少なめにしておくのが良さそうです。
TAKEAWAYS
- 失業申請件数の増加を受けて上昇。
- 今晩のインフレーション指数を警戒。
3. VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。
S&P500指数ETF SPY -2.38% ▼
S&P500指数(※4)をトラックするETF SPYは、50EMA(※5)ラインに押し戻されるように大きく下がりました。重要なサポートライン(※6)だったフィボナッチ(※7)-23.6%ラインを下に抜けてギャップ(※8)の下に落ちてしまいました。インフレーション指数が奇跡的に良ければまた上に戻ると思いますが、いまは下降トレンドに戻っているように見えます。
TAKEAWAYS
- 大きく下落して、下降トレンドに戻っている。
4. S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
5. EMAは、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均線と重なるように、画像の中では10EMA(イエロー)、50EMA(オレンジ)、200EMA(レッド)を表示しています。
5. EMAは、指定した数のローソク足の平均値を直近の数値に重み付けしてラインで表示しているものです。値動きの上限や下限になることが多いため、チャート分析でよく使われています。長い期間の平均線と重なるように、画像の中では10EMA(イエロー)、50EMA(オレンジ)、200EMA(レッド)を表示しています。
6. レジスタンスライン&サポートラインは、値動きの波が跳ね返りやすい価格で引いた水平線です。過去の値動きで山や谷になっているところと重なることが多く、逆方向の指し値注文が入りやすいところと見られています。
7. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率が61.8%にあたり、チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いです。
8. ギャップは、前日のローソク足と当日のローソク足に開きがあることをさします。テクニカル指標で指値を検討する際にギャップの中に設定されにくいため、ギャップの上か下かで値動きに大きな影響を与えると考えられます。
ダウ工業指数ETF DIA -1.94% ▼
Dow Jones Industrial Average(※9)をトラックするETF DIAは、50EMAラインに跳ね返されるように大きく下がりました。まだフィボナッチ-23.6%ラインを割っていませんが、10EMAラインを下に抜けているので、下降トレンドに戻り始めているように見えます。フィボナッチラインを下に割ると、直近最安値を目指して下降する可能性が高くなります。
TAKEAWAYS
- 大きく下がって下降トレンドに戻りはじめている。
- フィボナッチ-23.6%ラインを下に割ると、さらに大きく下降しそう。
9. Dow Jones Industrial Averageは、米国の株価を重視して重み付けした上位30社の価格をトラックする指数です。伝統的な会社やファイナンシャル企業の有名な会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
NASDAQ100指数ETF QQQ -2.68% ▼
TAKEAWAYS
- 他の指数と比べて最も大きく下がっている。
- 上昇の可能性は残しているけれど、楽観的な要素はほとんどない。
10. NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
RUSSEL2000指数ETF IWM -2.07% ▼
RUSSEL2000指数(※11)をトラックするETF IWMは、50EMAラインの下に大きく下がりました。フィボナッチ0%ラインの上を維持できなかったので、まだ下がりそうに見えます。インフレーション指数に警戒感が高まっている状態なので、かなり良い数値でないとさらに下降するスピードが上がりそうです。
TAKEAWAYS
- 大きくUターンして下降。
- さらに下がる可能性が高そう。
11. RUSSEL2000は、時価総額上位3000社を集めたRUSSEL3000の下から2000社を集めた指数です。この2000社がRUSSEL3000の時価総額の10%を占めていて、米国経済の健康状態を測る目安とされている指数です。米国の中小企業をいっぱい集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
日本株式ETF EWJ -0.72% ▼
TAKEAWAYS
- 10EMAラインの下に入り、下降トレンドが強くなっている。
- 直近最安値を更新する可能性が上がっている。
12. EWJは、米国マーケットに上場しているETFで、日本株式の時価総額の上位263社を保有しています。
ビットコイン米ドルレート BTC/USD
ビットコインの米ドル価格BTC/USDのレートは、52週安値ラインのところでサイドウォークを続けています。株式マーケットとセンチメントを共有しているものの、動き方は切り離されているように見えます。何かをきっかけにあと20%下がるかもしれませんが、7月末から上昇する見込みはまだ変わっていないように見えます。ボリンジャーバンド(※13)がかなり狭いので、いまはほとんど動きがないようです。
TAKEAWAYS
- 同じ価格帯での推移が継続。
- 株式マーケットとの相関が薄くなっているように見える。
- 上昇方向に転じるターニングポイントは7月末。
13. ボリンジャーバンドは、チャート分析に使われるテクニカル指標のひとつで、移動平均と標準偏差の組み合わせで構成されています。指定期間の標準偏差を用いて値動きの可能性をラインで表示し、移動平均を挟んで上下に帯のように表示されます。変動可能性が大きい時は幅が広がり、小さい時は狭くなります。狭くなった後は次に大きく動く可能性が高くなります。
おまけ
このチャートは金の先物価格のデイリーの動きです。金はビットコインと同じように、歴史的には株式マーケットとあまり相関しないと言われています。金自体は昔からほとんど価値が変わっていないため、その価格は主に通貨流通量とともに上昇すると言われています。
その金の価格のチャートが、この1か月間ほどビットコインと同じようにサイドウォークを続けています。ビットコインよりも取引ボリュームの増加は顕著に表れていますが、価格はほとんど動いていません。
もしかしたら、ビットコインと金が似た者同士になってきているのかもしれません。
TAKEAWAYS
- 金の価格がビットコインと同じようにサイドウォーク中。
- 株式マーケットとの相関は薄い。
- 取引ボリュームは上増えている。









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