Weekly チャート分析 株&コモディティ: 回復は続くのか?
6月20-24日のマーケットの経済データとチャート分析をお届けします。
KEY TAKEAWAYS
- ベアマーケットラリー(※1)で上昇。
- 原油価格が下がり、金利予測(※2)も下がっている。
- 株式指数はもう少し回復すると下降トレンドラインにぶつかる。
各国の経済データから経済活動が鈍化していることが明らかになっていて、それが原油の需要低下を想起させて原油価格が下がっているように見えます。その結果、インフレーション指数の低下が見込まれることで金利予測が下がり、マーケットが楽観的なムードになっているように思います。
週後半に欧州のインフレーション指数の速報値が出ますが、それ以外は特に大きなイベントは無さそうなので、もう少し回復が続いても良さそうに見えます。もう少し回復したところで下降トレンドラインとぶつかるので、そこが転換ポイントになりそうです。
1. ベアマーケットラリーは、ベアマーケット(長期間下降トレンドが続く時期のマーケットを指します)の中に発生する上昇トレンドで、短期間のうちに強い勢いで株価が上昇します。
2. 米国金利予測は、CME Groupが提供しているFed Watch
Toolで表示される将来の金利予測を指します。この予測値は金利の先物価格の推移から計算されているため、投資家の推測値の指標となっています。
世界の株式マーケットの方向性を決める世界最大のマーケット(※3)である米国マーケットを見ることで、日本の株式マーケットや為替(FX)マーケットの背景で動くマクロトレンド(※4)のインサイトを見つけることができればと思っています。
3.
株式マーケットが運用されている世界の上位100か国の中で最もマーケットの時価総額が大きいのが米国で、全体の40%を占めています。上位5社ほどが日本の株式マーケット全体に相当する大きさです。
4.
マクロトレンドとは、株価が上昇したり下降したりするトレンドの背景にあるファンダメンタルな要因がつくる大きな流れです。例えば、通貨の供給量を増やすことが株式マーケットの時価総額を成長させる背景にあるといったものです。
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直近の主な経済データについて
この1週間は以下の経済データが公表されました。
米国 現存住宅販指数 5月 5.41M (専門家予測 5.3〜5.39M)※MはMillion=100万の意。
予測よりやや多い数値。今年の中では最低水準。
英国 インフレーション指数 5月 9.1% (専門家予測
9.1〜9.2%)
予測どおり最高値を更新。先月から+0.1%。
加国 インフレーション指数 5月 7.7% (専門家予測
7.0〜7.4%)
予測を超えて40年来の高さに到達。
豪州 製造景気指数(PMI) 6月速報値 55.8
(専門家予測 55)
予測より少し良く、先月より0.1pt上昇。
仏国 製造景気指数(PMI) 6月速報値 51
(専門家予測 54〜54.2)
予測より悪く、先月比-3.6pt。
独国 製造景気指数(PMI) 6月速報値 52
(専門家予測 53.7〜54)
予測より悪く、先月比-2.8pt。
欧州 製造景気指数(PMI) 6月速報値 52 (専門家予測
53.9〜54)
予測より悪く、先月比-2.6pt。
英国 製造景気指数(PMI) 6月速報値 53.4
(専門家予測 53.7〜54.2)
予測より悪く、先月比-1.2pt。
米国 製造景気指数(PMI) 6月速報値 52.4 (専門家予測 56)
予測より悪く、先月比-4.6pt。
米国 失業申請件数 229K (専門家予測 227K)
予測より多く、先月比-3K。
日本 インフレーション指数 5月 2.5% (専門家予測
2.3%)
予測より少し高く、先月と同じ。
英国 小売売上指数 5月 -0.5% (専門家予測
-0.7%〜-0.3)
予測の中央値あたり、先月比-0.9pt。
米国 新規住宅販売数 5月 0.696M (専門家予測
0.585M〜0.588M)※MはMillion=100万の意。
予測より多く、先月比+0.067M。
米国 一般消費者センチメント指数 6月最終値 50
(専門家予測 50.2)
予測より低く、先月比-8.4%。1980年以来の低さ。
各国でインフレーション指数は最高値を更新していて、PMI(※5)データから経済活動の鈍化が明らかになっています。この状態はすでに見込まれているようで、景気の悪い状況が原油の需要を低下させる要因となり、それが理由で原油価格が下がっているように見えます。
原油価格が下がることで2か月くらい先のインフレーション指数低下を期待され、金利予測は下がる方向にあります。9月のFOMC(※6)で金融引き締めの収束時期が見え始めると、株価の回復が加速すると思われます。
月曜日にはGDPNow(※7)の数値がアップデートされるので、チェックしておくと良さそうです。現在0%に下がっているので、マイナスになりそうな雰囲気にあります。これがプラスに戻っているとマーケットは楽観的なムードを強めるかもしれません。
今週の主な経済データ
6月27日 米国 GDPNowアップデート(現在0.0%)
6月28日 米国 卸在庫指数(専門家予測1.9%、前回2.2%)
6月28日 米国 住宅価格指数(専門家予測21%、前回21.2%)
6月28日 独国 インフレーション指数 6月速報値(専門家予測7.9%、前回7.9%)
6月30日 仏国 インフレーション指数 6月速報値(専門家予測5.5〜5.6%、前回5.2%)
6月30日 独国 失業率 6月(専門家予測5.0%、前回5.0%)
6月30日 欧州 失業率 5月(専門家予測6.8%、前回6.8%)
6月30日 米国 失業保険申請数(専門家予測218K〜227K、前回229K)
7月1日 欧州 インフレーション指数 6月速報値(専門家予測8.3%、前回8.1%)
5. PMIは、Purchase Manager
Indexの略で、各企業の役員に調査して集計される景気指数です。米国では毎月数百社に調査が行われ、新規注文、生産、仕入れ、雇用、支出について算出されます。50以上で成長、50以下で減退を示します。
6. FOMCは、Federal Open Market
Committeeの略で、米国中央銀行の金融政策決定会合のような位置付けのものです。この会議で政策金利が決定され、QE(金融緩和)やQT(金融引締め)の計画内容と進行状況が話されます。議事録には公表されていない将来の施策や、現在のマーケットの展望などが含まれるため世界の投資機関が注目しています。
7. GDPNowは、米国中央銀行アトランタ支局が提供するレポートで、日々の経済データを元に現在の四半期のGDP推測値を算出するものです。正式な予測値ではありませんが、向かっている方向を探る手掛かりになっています。
S&P500ボラティリティ指数 VIX(※8)
KEY TAKEAWAYS
- 2週前の水準まで低下。
- まだ高い数値なので大きな変動に注意。
- 24を下回れば少し楽観的。
8.
VIX指数はマーケットの下落可能性を測る指標として使われています。数値が高いほど下落可能性が高く、大きくスパイクした後は株価が反発するチャンスがあるとされています。長期間の平均値は19.1あたりになるようです。
S&P500指数ETF SPY(※9)
KEY TAKEAWAYS
- ギャップ(※10)を埋めて回復。
- もう少し回復するとゴールデンラインにあたって下がる可能性。
- 強い下降トレンドは継続中。
9.
S&P500は、世界で一番大きな株式マーケットで米国の時価総額上位500社の価格をトラックしている指数です。
10. ギャップは、前日のローソク足と当日のローソク足に開きがあることをさします。テクニカル指標で指値を検討する際にギャップの中に設定されにくいため、ギャップの上か下かで値動きに大きな影響を与えると考えられます。
NASDAQ100指数ETF QQQ(※11)
KEY TAKEAWAYS
- フィボナッチ(※12)-23.6%ラインまで回復。
- 下降トレンドラインにもあたっている。
- 両方のレジスタンスラインを突破したらもう少し回復が期待できる。
11.
NASDAQ100は、米国NASDAQに上場している会社のファイナンシャル企業を除く時価総額上位100社の価格をトラックする指数です。大きなテック会社を集めた指数と捉えるのが簡単な解釈です。
12. フィボナッチとは、フィボナッチリトレースメントの略で、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが発見したフィボナッチ数の法則性を利用したテクニカル指標です。主にサポート&レジスタンスラインの見極めに使われています。フィボナッチ数列にある任意の数字と前の数字との比率を出すと61.8%になります。チャートの動きも61.8%のラインあたりで方向転換することが多いのが特徴です。
このサイトのコンテンツ紹介
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為替マーケット(FX)のトレンドを見るためのツールです。主要な通貨の値上がり/値下がりの傾向をトレンドラインにして見ることができます。トレードの参考にご覧ください。
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マーケットのセンチメントをはかるためのツールです。リスクオンなのかリスクオフなのかを見るために、米国のETFの日次の値動きと週次の値動きと取引ボリュームをバブルチャートにしています。
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